歴代『仮面ライダー』衝撃的すぎた2号ライダーの「闇落ち」展開 「まさかの裏切りにビックリ…」の画像
『仮面ライダー鎧武/ガイム』Blu-ray COLLECTION 2 [Blu-ray](東映ビデオ)©石森プロ・東映 © Toei Video Co.,LTD. 2016 All Rights Reserved.

 先日最終回を迎えた『仮面ライダーガヴ』では、仮面ライダーヴァレン/辛木田絆斗が“闇落ち寸前”で踏みとどまる姿が印象的だった。

 『仮面ライダー』シリーズにおいて、「2号ライダー」が闇に呑まれる展開は、特別な意味を持って描かれてきた。主人公の分身であり、信頼できる仲間であり、ときには最大のライバルとなる存在。その立場にある2号ライダーが闇へと落ちる瞬間は、物語に大きな衝撃と、深みを与えてきたのである。

 そこで今回は、歴代作品の中から、特に印象に残る「闇落ちした2号ライダー」たちを振り返っていきたい。

※本記事には各作品の内容を含みます

■姉の死によって闇に沈んだ『仮面ライダーギーツ』タイクーン

 令和第4作『仮面ライダーギーツ』に登場した2号ライダー・仮面ライダータイクーンこと桜井景和は、まさに闇落ちの象徴的存在といえるだろう。

 景和は就職活動中の大学生。幼いころに両親を事故で失ったが、姉・桜井沙羅とともに支え合いながら生きてきた。ライダーたちが命を懸けて挑む理不尽なサバイバルゲーム・デザイアグランプリに巻き込まれても、彼が望むのはただ一つ「世界平和」であった。

 正しさを信じて突き進む純粋でまっすぐな姿は、絶対的なカリスマを放つ主人公・浮世英寿(仮面ライダーギーツ)とは対照的に、“もう一人の主人公”として描かれてきた。

 しかし物語が佳境に差しかかる第40話「創世II:タイクーン覚醒」で、残酷な運命が景和を襲う。姉・沙羅が五十鈴大智の策略によって怪人ジャマトに変えられ、さらにそのことを知らない吾妻道長 (仮面ライダーバッファ)の手によって倒されてしまうのだ。唯一の家族である姉・沙羅の死は、景和の心を粉々に打ち砕く。

 その後の景和の行動は、それまでの彼を知る視聴者に衝撃を与えた。悲しみと怒りのままに「誰にも負けない力」を求め、創世の女神の力を宿すツムリにすがり、最強形態「ブジンソード」を手に入れる。その瞬間に浮かべた“ニヤリ”とした不敵な笑みは、まさに闇落ちを決定づけるものだった。

 まずは「姉ちゃんの仇だ…」と憎しみをぶつけるように道長を痛めつけ、さらに元凶の大智を撃破。ついには「デザイアグランプリのすべての犠牲者を蘇らせる世界」を叶えてしまう。しかし、その歪んだ正義による選択が、さらなる悲劇を招くことになるのであった。

■兄への嫉妬が生んだ『仮面ライダーリバイス』エビル

 令和第3作『仮面ライダーリバイス』でも、2号ライダーの闇落ちが鮮烈に描かれた。

 それが仮面ライダーエビルである。変身者の五十嵐大二は、主人公・五十嵐一輝(仮面ライダーリバイ)の弟。彼は若くして政府特務機関フェニックスに所属し、中央方面隊分隊長を務めるエリートだった。しかしその優秀さとは裏腹に、内面には幼いころから常に家族の中心であり続けた兄への強烈なコンプレックスが渦巻いていた。

 そして、本来であれば自分が担うはずだった仮面ライダーへの変身を、兄が代わりに成し遂げてしまう。その事実が、大二の心を徐々に蝕んでいった。やがてその心の隙を突くように、彼の内に潜んでいた悪魔・カゲロウが誕生し、正体不明のライダー「エビル」として暗躍を始めるのである。

 そして、第8話「家族の休息、天国と地獄!?」。母の退院祝いで訪れた温泉宿にて、大二はついに家族の前で仮面を脱ぐ。彼はいきなり一輝に殴りかかり、母に贈った花束を踏み潰すと「優しい弟のフリも今日で終わりだ」と宣言。そのままエビルへと変身し、一輝を容赦なく踏みつけにする。公開処刑同然のこの展開は、視聴者に大きなインパクトを残した。

 戦闘後に「また喧嘩しようぜ、お兄ちゃん…」と、捨て台詞を残して去る姿も、彼の闇落ちを印象づけるシーンとなった。

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