■今見てもスタイリッシュ! GAINAXの名を世に知らしめた名作『不思議の海のナディア』
GAINAXの初期代表作の一つである『不思議の海のナディア』。1990年にNHKで放送された本作は、庵野氏、貞本義行氏、鷺巣詩郎氏といった錚々たる顔ぶれによって制作された。
物語は、天真爛漫でやんちゃな主人公のナディア・ラ・アルウォールと、彼女に一目惚れした発明好きな少年、ジャン・ロック・ラルティーグを中心に展開される。ナディアの持つ宝石・ブルーウォーターにより、数奇な運命に巻き込まれる2人の姿を描いたスチームパンク冒険活劇だ。
そんな本作の総集編は、34話「いとしのナディア♥」として放送された。
これは単なる再編集ではなく、ストーリー上でキャラたちが次々と音楽に合わせて歌うミュージックビデオ風の構成で作られている。使用された楽曲は、グランディス一味がジャンに愛を説く『愛の3人組』や、ナディアが歌う『海よりも優しく』などオリジナル曲ばかりで、中には監督たちが作詞した楽曲も含まれていた。
編集作業には膨大な時間がかかり、総集編ながら、逆に手の込んだエピソードとなっている。限られた時間の中で最大限のクリエイティビティを発揮する、さすが庵野監督だと言わざるを得ない。
これまでの物語を繋ぎ合わせるだけでなく、総集編にも斬新な演出を散りばめて我々を楽しませてくれるGAINAXのアニメ作品。
制作の裏にはさまざまな困難もあっただろうが、その映像に込められたクリエイターたちの情熱は素晴らしく、時代を経ても色褪せることなく楽しめる作品が揃っている。