本当は怖い『ドラゴンクエスト』ジワジワと恐怖がしみる「怪奇演出」 白骨死体に血まみれの川も…の画像
『ドラゴンクエスト』『ドラゴンクエスト3』『ドラゴンクエスト5』『ドラゴンクエスト8』『ドラゴンクエスト11』(写真/ふたまん+編集部)

 1986年、記念すべき第1作目がファミコンで発売され、来年で40周年を迎える『ドラゴンクエスト』シリーズ(スクウェア・エニックス)。2025年10月30日にはHD-2D版『ドラゴンクエストI&II』の発売を控え、発売時期は未定ながらナンバリングタイトル最新作『ドラゴンクエストXII 選ばれし運命の炎』も製作中だ。

 『ドラクエ』シリーズはファンタジー世界を舞台にしたRPGで、どちらかといえばキャラクターデザインを担当してきた鳥山明氏のポップで明るい絵柄のテイストをそのまま受け継いだ作風という印象が強い。

 とはいえ、そこは堀井雄二氏の手がける作品。場面によっては重々しいストーリーが展開されることもあり、中にはプレイヤーの背筋が凍るような恐ろしい描写や演出も存在した。

 そこで今回は歴代の『ドラクエ』シリーズの中で見られた、印象に残るホラー展開を振り返ってみたい。

※本記事には各作品の内容を含みます。

■美しい川が不気味な血に染まる!?

 『ドラゴンクエストVI 幻の大地』には、「現実の世界」と「夢の世界」という2つの世界が存在する。それぞれの世界は影響しあっており、主人公たちはその2つの世界を行き来しながら、ちりばめられた謎を解いていくことになる。

 旅の途中、主人公たちは美しい川が流れる町「アモール」を訪れる。回復アイテム「アモールのみず」の産地でもあり、キレイな水が特徴だった。

 現実世界のアモールの宿は満室で、主人公はジーナというおばあさんが働く教会に泊めてもらうことになる。すると宿泊した主人公たちは、なぜか夢の世界のアモールで目覚めてしまうのだ。

 そのまま教会の外に出た主人公たちは、あれほど美しかったアモールの川の水が、不気味に赤く染まっていく様子を目撃する。それまでの荘厳なBGMは突如恐怖をあおる不穏なものへと変わり、村人に話しかけると血のような色をした川を目撃して恐怖におののくセリフが相次ぐ。

 このアモールの水が赤く染まったのは、川の上流で女盗賊ジーナが、「おちない……おちない……この剣についた血が、いくら洗ってもおちないよ……」と自らの剣を洗っていたことが原因だった。彼女は自分の愛する人をこの剣で殺してしまったという。

 つまり、これは愛しい人を自らの手で殺めてしまったというジーナおばあさんが罪の意識から、ずっと見続けてきた悪夢の世界だったのである。

 まるでホラー作品のような展開だが、実は夢の世界でジーナの愛しい相棒のイリアは生存していた。宝箱の罠にかかり魔物に取り憑かれたイリアがジーナに刃を向け、そのとき彼女の手にしていた剣がイリアに大ケガを負わせたのが真相だった。

 主人公たちが魔物を倒したことでイリアはジーナのもとに帰還し、現実世界のジーナも悪夢から解放されるストーリーとなっている。

 最終的に幸せな結末になったが、血で染まった川の演出や、途中までのホラー作品のような恐怖展開に驚いた人も多かったのではないだろうか。

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