■昭和のオカルトブームの象徴が登場「ハワイ旅行か、優雅な展開だ…なんて思ってんじゃねーぞ、思わねーか。」の巻

 40話「ハワイ旅行か、優雅な展開だ…なんて思ってんじゃねーぞ、思わねーか。」の巻は、光太郎たちが時空を超え、なんと戦争中の日本にタイムスリップしてしまうホラー回だ。

 連載40回を記念し、ハワイ旅行をプレゼントされた本作の登場人物たち。しかし一行を乗せた飛行機はバミューダ島という魔の海域に入ったところで空間の歪みに巻き込まれ、戦時中の日本にタイムスリップしてしまう。戦闘機に狙われる絶体絶命の状況下で、光太郎たちはなんとか現代に戻るべく奔走していくのだ。

 本作に登場する「バミューダ島」は、昭和のオカルトブームを象徴するミステリー「バミューダ・トライアングル」をモチーフにしていると思われる。

 これはバミューダ諸島近海に実在する三角形の海域で、古くから多くの船舶や航空機が原因不明のまま消息を絶っているとされており、当時はよく超常現象ネタとしてメディアでも取り上げられていた。

 本作では、この魔の海域をタイムスリップのきっかけとして用いることで、壮大なSFホラー展開を描き出しているのだ。

 ラストは光太郎たちを愛する読者たちの「愛のパワー」という協力も得て、一行はなんとか現代に戻ってくる。しかしそれと同時に戦闘機まで元の世界に連れてきてしまい、やはりカオスな展開で幕を閉じるのであった。

 

 伝説的なギャグ漫画として今なお語り継がれる『お父さんは心配症』。単なる父娘のドタバタ劇を描いているだけでなく、このようなホラー回をはじめ、いろいろなシチュエーションのエピソードが盛りだくさんなところも魅力的だ。

 ホラー回とはいっても、やっぱり少女漫画界における最強のギャグ漫画であることは変わらない。怖いのが苦手な読者であっても、岡田あーみん作品であれば、安心して読むことができるだろう。

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