
7月17日に発売されたNintendoSwitch2用ゲーム『ドンキーコング バナンザ』(任天堂)に登場したキャラクター「ポリーン」。本作では13歳の女の子という設定だが、最近では大人の姿で『マリオ』シリーズで見かける機会が増えてきたキャラクターでもある。
そのいでたちは鮮やかな赤いドレスに長い黒髪と、落ち着いた大人の雰囲気を漂わせ、「あれ、このキャラ誰だっけ?」と思う人も少なくないだろう。
実はポリーンは、ピーチ姫よりも早くゲームに登場していた、任天堂の超古参ヒロインなのだ。そんなポリーンのルーツや謎をたどると、任天堂のゲーム史におけるユニークな立ち位置が見えてくる。
■「さらわれ役」として登場した、マリオ最初のヒロイン
1981年にアーケードで登場した『ドンキーコング』。ここで初めて姿を見せたのが、のちのポリーンであり、ファミコン用ソフト『ドンキーコング』のパッケージイラストでもコングの右腕に、赤いドレスを着た金髪の彼女の姿が確認できる。ただ、当時は「レディ(LADY)」という名前で、設定もきわめてシンプル。マリオが助けに行くさらわれ役の女性だった。
その後の任天堂作品にも断片的に顔を出し、1984年にはファミコン用ソフト『ピンボール』のボーナスゲームに登場。落ちてくるマリオを救う役目を果たした。同年の『ファミリーベーシック』にも姿を見せるが、そこに明確なストーリー性はなく、あくまで背景的なゲストとしての出演だった。
彼女が「ポリーン」という名前で呼ばれるようになったのは、1986年の北米NES版『ドンキーコング』から。日本では長らく「レディ」の呼び名が使われ続けたが、海外アニメや広告では早い段階で「Pauline」の名が浸透していたようだ。
しばらく任天堂ゲームから姿を消していたポリーンが再び脚光を浴びたのは、1994年に発売されたゲームボーイ用ソフト『ドンキーコング』だ。同作ではパッケージにもポリーンの姿が描かれており、ここから彼女のデザインが刷新され、日本でも正式に「ポリーン」と名付けられた。以降、作品ごとにばらつきのあったビジュアルは統一され、現代的なタッチへと生まれ変わった。
2000年代に入ると、『マリオvs.ドンキーコング』シリーズで再登場し、ニンテンドーDS用ソフト『マリオvs.ドンキーコング 突撃!ミニランド』のパッケージでもその姿が描かれる。今度は2代目ドンキーに好意を抱かれ、再びさらわれるという構図が復活する。ただし、マリオとの関係性には「友人」という新たな設定が加わり、単なる救出対象ではない微妙な立ち位置が生まれた。フィギュアや『すれちがいMii広場』などでも存在感を示すようになる。