■同じ顔が4体もいる恐怖…ギャビーに仕える腹話術人形
最後は、2019年に公開された最新作『トイ・ストーリー4』を見ていこう。
「子どもに遊んでもらうことがおもちゃの幸せ」という、これまでのテーマを覆す衝撃的なラストに賛否が集まった作品でもある本作は、アンディの元を離れボニーのおもちゃとなったウッディたちの姿が描かれる。
あるときボニーは、幼稚園で先割れスプーンを使ったおもちゃのフォーキーを作った。ところがフォーキーは自分をゴミだと思い込んでおり、すきあらばゴミ箱に飛び込もうとしてしまう。
そんな折、ボニー一家はキャンピングカーで旅行へ出かけるが、案の定フォーキーは逃亡。ウッディは彼を追い、ボニーの元へ戻る途中で「セカンド・チャンス・アンティーク」という店に足を踏み入れた。
そこで出会ったのが、60年間も理想の持ち主を待ち続けている人形ギャビー・ギャビーと腹話術人形のベンソンである。お姫様のボディガードのようにいつもギャビーに寄り添うベンソンは、無表情の顔にぎょろりとした目を持ち、体はフニャフニャと不気味に動く。口に入った線などその造形は腹話術人形らしくリアルな一方、ホラー映画の登場人物のような不気味さが漂う。
また、ギャビーのためにフォーキーを誘拐したり意識を失っているウッディからボイスボックスを取り出したりと、全体的にベンソンのシーンは演出もホラー感が強めになっている。そのため、言葉を発しないにも関わらず存在感は非常に強い。
しかも、そんな人形が4体も揃って登場するのだから恐怖は倍増。終盤にフォーキーが「ベンソンってなんかホラーだね」と口にしていたが、そう思ってしまうのも無理はない。
ギャビーが探し求めた持ち主を見つけてアンティークショップを去った後、主人を失ったベンソンはどうなったのだろうか。長年仕えたギャビー同様に、腹話術師の元で幸せになっていてほしいと願わずにはいられない。
老若男女問わず、多くの人々に愛される『トイ・ストーリー』シリーズ。ヴィランとして登場するおもちゃはもちろん、怖いビジュアルのおもちゃたちも、決して単なる悪役ではない。その裏には切ない過去や悲しい想いが隠されており、怖さと同時にどこか憎めない存在なのだ。