■「誰か説明してくれよ!」オープニング間奏でセリフを入れた…『メロスのように ーLONELY WAYー』
次に紹介するのが、1985年から放送された『蒼き流星SPTレイズナー』。
グラドス星の侵略から地球を守るため、地球人の父とグラドス星人の母を持つ少年、アルバトロ・ナル・エイジ・アスカが、人型機動兵器(SPT)であるレイズナーで戦う物語だ。
1996年の近未来を舞台とした本作は、人類が火星への進出を果たすようになってもなお、アメリカとソ連(現:ロシア)が対立を引きずったままであるなど、放送当時(1985年)の世界情勢を色濃く反映したリアルな設定だった。
グラドスという外敵だけでなく、地球では国同士の軋轢、エイジに対する敵意や疎外など人間ドラマも描かれ、ロボットアニメの面白さを追求した意欲作である。
主題歌は日本のバンドAIRMAIL from NAGASAKIが歌う『メロスのように ーLONELY WAYー』、歌詞は後に「AKB48」の総合プロデューサーとして知られる秋元康さんが担当した。
オープニングはスタイリッシュな前奏から、スピード感あふれる映像でキャラクターがカットイン。そして宇宙空間でSPT同士の激しい戦闘がおこなわれるなか、ドラムとピアノがビートを刻むクールな間奏をバックに、突如キャラクターの映像とセリフが挿入される。この演出は当時のアニメにおいて非常に斬新だった。
特にデビッド・ラザフォードの「誰か説明してくれよ!」(第1話)や、エイジの「僕だって人間なんだーっ!」(第7話)は、その汎用性の高さからたびたびネタにされているほどだ。
なお、この手法は1996年制作のOVA『新世紀GPXサイバーフォーミュラSAGA』(全8巻)のオープニングにも受け継がれている。