■嫌がらせにも負けない!スカッと爽快な『斉藤さん』

 最後は、小田ゆうあさん原作の同名漫画の実写化で、2008年1月から日本テレビ系「水曜ドラマ」枠で放送された『斉藤さん』を見ていく。

 主人公は、観月ありささん演じる斉藤全子。夫は海外赴任中で、息子・潤一(谷端奏人さん)と二人で東京の郊外に住んでいる。彼女の最大の特徴は、何よりも強い正義感。ポイ捨てをする人や店内を走り回る子どもなど、相手が誰であっても間違っていることはズバッと注意する真っすぐで芯の強い女性だ。

 あるとき、斉藤さんの住む街に真野若葉(ミムラさん)一家が引っ越してくる。以前の幼稚園でママ友からのけ者にされていた若葉は、潤一の通う「こばと幼稚園」に編入し、必死に新たなママ友を作ろうとするがうまくいかず。しかし、強さだけでなく人間らしい弱さも併せ持つ斉藤さんとの出会いが彼女の価値観を刺激し、次第に二人の間に友情が芽生えていく。

 一方、園では子ども同士のケンカや先生VS保護者の対立、ママ友の陰口と問題続き。斉藤さんはそんな場面でもズバズバと意見を言うが、強すぎる正義感ゆえにボスママ・三上りつ子(高島礼子さん)、山本みゆき(濱田マリさん)、中村久美(矢沢心さん)らから目の敵にされる。

 近所のヤンキー高校生との衝突も原因の一つだ。というのも、斉藤さんに注意されたことで高校生が逆恨みし、幼稚園にゴミを入れたりバザーに殴り込んだりと凶行に出たのである。

 確かに、他の母親からすれば斉藤さんの行動で子どもたちが危険に晒されるのだから怖いだろう。「何もしないで」と止める三上たちの言うことも理解はできる。だが、斉藤さんは屈することなく向き合い、彼らのリーダー格・柳川正義(山田親太朗さん)をもいい方向に変えていくのだ。

 タフな斉藤さんと気弱な若葉の対比と友情、そして斉藤さんに触れて少しずつ変わっていく周囲の人々。『斉藤さん』は、爽快感の中にじんわりした温かさを感じられるドラマだ。2013年には続編も放送されているため、気になる人は合わせてチェックしてみてほしい。

 時に重苦しく、時に爽快なママ友トラブルを扱ったドラマたち。子どもがいる人にとっては身近な問題で、思わず「あるある!」と頷いてしまう場面も多いだろう。現実世界では今回紹介した主人公たちのように行動するのは難しいが、だからこそ見ていてスカッとするのかもしれない。

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