■景気が良かった日本の懐かしいCMたち

 90年代に流行ったのは 『バザールでござーる』 (NEC) 。NECのバザール期間 (情報生活市) を告知する販促CMで、あのサルのキャラクターが人気ありました。

 「バザールでござーる、バザールでござーる、NECのお店にゆくでござーる」

 財津一郎さんのナレーションと、ちょっとマヌケなサルのキャラクター、最後に流れる♪バザールでござーる♪のフレーズが印象に残るCMでした。

 “大御所がこんなことやるんだ” っていうCMもありました。 『タンスにゴン』の美川憲一さんとちあきなおみさん。

 買い物帰りの主婦 (ちあきなおみさん) がスーパーの袋を提げて 「におわないのがタンスにゴン」と口ずさみながら商店街を歩いていると、後ろからきた自転車に乗った美川憲一さんが邪魔そうにひと言。

 「もっと端っこ歩きなさいよ」

 CM自体もインパクトあったけど、コロッケさんの影響も大きい。僕ら、美川憲一さんもちあきなおみさんもよく知らなかったですもん。コロッケさんのモノマネで知って、あとからご本人を知るっていう。CMも面白かったけど、それよりもコロッケさんのモノマネが面白かったのを覚えてます。

 大御所でいうと、長嶋さんの 『セコム、 してますか?』 。

 セコムっていう会社自体も知らないし、防犯システムなんて知らないから、 「へえ、 家にそういう防犯のやつつけるんだ」って初めて知りました。いまでこそ、セコムもアルソックも一般的だけど、知らなかったですからね、そういう防犯業界。それを長嶋さんのCM一発で世間に広めたCM効果がすごい。

 80年代、90年代のCMはひと言でいうと 「強い」 。世の中の景気がよかったから勢いがあった。企業も商品の説明よりもキャッチーなことを面白がってた。いまと比べてコンプライアンスもゆるかったし、作り手サイドも企業サイドも遊び心があったんでしょうね。

 それが、バブルが弾けてお金がなくなってくると、 「ちょっとこれは……」って、企業もシビアになってくるからCMも勢いがなくなってインパクトがあるCMも少なくなってきた。お金があって遊び心があったから80年代、90年代のCMは面白いんでしょうね。

■昭和~平成にかけて巻き起こった『桃水』ブーム

 華原朋美さんが 「ヒューヒュー」言ってた 『桃の天然水』には思い出があります。

 当時の僕は桃の天然水を死ぬほど飲んでたから、いつでも飲めるように大量に買って冷蔵庫に入れてました。ところがある日、家に帰って冷蔵庫を開けたら、桃の天然水のキャップが全部ちょっとずつ開いてる。どうやら誰かが片っ端からキャップ開けて、ひと口だけ飲んだ形跡が。

 「誰だ、 これやったのは!」

 ブチ切れて言ったら、おかあが気づいたようにひと言。

 「おじいさんじゃないの」

 当時うちのじいさんが酒飲みすぎてアルコール依存気味だったから、家族から焼酎を全部隠されてました。そこでじいさん、焼酎を探そうと冷蔵庫を開けて、片っ端から桃の天然水をひと口ずつ飲んで酒かどうか確かめた。

 「じじい、 てめえ金よこせ!」

 それが “桃の天然水の思い出” です。

 

【プロフィール】
土田晃之(つちだ てるゆき)
1972年9月1日生まれ、東京都練馬区出身・埼玉県育ちのお笑いタレント、司会者、コメンテーター。太田プロダクション所属。1991年にお笑いコンビ「U-turn」としてデビューし、解散後はピン芸人としてバラエティ番組や情報番組で幅広く活躍。ガンダムやサッカー、家電など多彩な知識を持ち、親しみやすいトークで人気を集めている。『僕たちが愛した昭和カルチャー回顧録』が、2025年8月20日より双葉社から発売。

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