■有名メーカーではなく良いものを!家電芸人のルーツ
そもそも子供の頃から家電に興味があったのは、テレビ好きだったのが関係していると思います。子供の頃の“夢の家電”は、なんと言ってもビデオデッキ。好きな番組が録画できるなんて夢みたいな話でした。
中2の時にK君の家にVHSのデッキが来た時は羨ましくて親父に言ってみたけど、「あんな高けーもん、いらねえ!」ってきっぱり断られて。仕方ないから、1本300円ぐらいのVHSテープを2本買って、K君の家まで自転車で持って行って、「これで『夕やけニャンニャン』を3倍速で撮って」そう頼んでは撮ってもらっていました。
ビデオに撮ってもらった『夕ニャン』がどんどん溜まっていって、「いつかこれが見られるなんてうれしいなぁ」そう思いながら、ビデオデッキを買う日を夢見ていました。
その夢が叶ったのが高1の秋。
「ビデオデッキ買うから、予算6万円で一番いいの探してこい」
親父に言われて秋葉原まで行って、コンポの時と同じようにいろんな店を回って、それぞれメーカーのいい点、ダメな点を聞いて自分にとって一番いいビデオデッキを選びました。
店に行くまではナショナル、ソニー、三菱とか、要は一般的に売れてるメーカーで考えてたけど、結局選んだのはNEC。NECのビデオデッキは6万円ちょいでハイファイが付いてたんです。その値段でほかのメーカーだとモノラルしかないからNECのほうが断然音がいいし、調べたらほかの機能もよくて。
でも予算の6万円は超えてるから、家に帰って親父にNECのいいところをプレゼンしたら 「その分は出す」ってことになって。それで次はお金を持って秋葉原まで行って、今度は一番安くしてくれる店を探しました。
ピンポイントで僕の欲しいデッキの値段を聞いて 「いくらにしてくれますか?」って値段交渉して回る。最終的に一番安くしてくれる店で買ったんです。
■根っこにあったのは“ケチな自分”
高校の時、金貯めて自分の部屋にテレビを買った時もそうです。当時、小型テレビっていうと当たり前のように14型。でも僕が買ったのは15型。
「15型なんてあったんだ?」ってよく聞かれますけど、あったんです。三菱が出してました。友達が来ると「あきべえんちのテレビ大きく感じるなぁ」って言うから、「15型です」ってドヤ顔で言うっていう。
僕が家電に詳しくなった根本にあるのが、多分 “ケチ” なんですよ。余計にお金払いたくないし、安くていいものが欲しい。それが家電に詳しくなった一番の理由です。
もしお金がいっぱいあって 「別に何買ってもいいや」 だったら、売り場に行って「一番売れてるのどれですか?」って店員さんに聞いて 「じゃあこれください」ってなりますからね。
でも僕の場合は 「一番売れてるんです」って言われても、 「売れてるのはそうかもしれないけど、性能がいいのはどれですか?」って聞きたくなるし、 「性能だったらこれかな」って教えてくれたら、 「どの部分の性能が優れているんですか?」って聞きたくなる。
「自分が一番求めてるのはなんだろう?」って考えて、「自分にはその機能はいらない、こっちの機能がいいほうがいいな」そうやって調べるうちに、気が付いたら家電に詳しくなってました。
【プロフィール】
土田晃之(つちだ てるゆき)
1972年9月1日生まれ、東京都練馬区出身・埼玉県育ちのお笑いタレント、司会者、コメンテーター。太田プロダクション所属。1991年にお笑いコンビ「U-turn」としてデビューし、解散後はピン芸人としてバラエティ番組や情報番組で幅広く活躍。ガンダムやサッカー、家電など多彩な知識を持ち、親しみやすいトークで人気を集めている。『僕たちが愛した昭和カルチャー回顧録』が、2025年8月20日より双葉社から発売。


