■後悔を胸に未来を託した大叔父「デンデ・ストマック」
クジラとカエルを合わせたような愛嬌のある姿のデンデ・ストマックは、ショウマの父方の大叔父にあたるグラニュートだ。
かつてのストマック社創業期から技術部門を支え、兄とともに“闇菓子”の開発にも深くかかわった過去を持つ。本人はその材料が人間由来であることを知らされていなかったとはいえ、その責任は重い。
やがてデンデは、権力と利益にまみれた一族に嫌気がさし、ストマック社どころかグラニュート界そのものから姿を消す。そして人間界の洞窟に身を隠し、“隠居の技術者”としてひっそりと暮らしながら、ショウマ、そして彼が身を寄せる“はぴぱれ組”に助言を与えてきた。
そして、闇菓子の真実を知ったデンデは、自らの過去を悔い、贖罪のための行動を始める。自身の“ガヴの歯”を犠牲にして強化アイテム・ゴチポッドを作り上げ、未来をショウマに託すのだった。
しかし第39話、ついにストマック家の長女・グロッタに見つかってしまう。このときのグロッタは一族の象徴だったストマック社を奪われ、家族もバラバラになっており、憔悴しきっていた。
大姪にあたるグロッタに対し、デンデは「こっち(=人間界)で一緒に生きてみんか?」と救いの手を差し伸べる。だが、グロッタはそれを拒絶し、逆上の末に致命傷を負わせてしまう。
そのまま息を引き取ったデンデ。ショウマ、そして“はぴぱれ組”にも深い傷を残した別れとなった。
酸賀、ラゴー、デンデ。彼らは確かに罪を犯し、人を傷つけた。しかし、その胸の奥には消えることのない情や後悔があった。しかし、物語は彼らが過去から完全に解き放たれることを許さず、非情で容赦のない結末となっていた。
お菓子という甘く愛らしいモチーフの裏側で描かれる、苦く切ない人間模様。その強烈なコントラストこそが『仮面ライダーガヴ』を、唯一無二の作品にしている。物語は間もなく最終回を迎える。最後まで、どのような人間模様が我々を待ち受けているのか、しっかりと見届けたい。