■主人公が乗り込んだ禍々しいガンダム…
テレビアニメ『新機動戦記ガンダムW』の主人公ヒイロ・ユイは、最初の主役機「ウイングガンダム」以降、数多くの機体に乗り換えた主人公としても知られる。
その中には、ライバルのゼクス・マーキスが最終決戦でも乗っていたガンダムエピオンも含まれている。つまりヒイロは、一時的とはいえ作品のラスボス的な存在の機体に乗り込んだことになる。
その初搭乗シーンが描かれたのが、第34話「その名はエピオン」というエピソード。
内部分裂した敵組織『OZ』の片方である「トレーズ派」粛清のために送り込まれた大量のモビルドールを相手に、ウイングガンダムで戦ったヒイロ。しかし大軍に取り囲まれ、機体は行動不能に追い込まれてしまう。
機体を降りたヒイロはトレーズ・クシュリナーダのいる古城に赴き、そこに隠されていたガンダムエピオンを託されることとなる。
トレーズの思想が色濃く反映されたエピオンは近接武装しか持たず、悪魔のような禍々しいフォルムをした機体。しかも内部にはゼロシステムに似た「エピオンシステム」が搭載され、システムに飲まれたヒイロは無差別攻撃を行おうとした。
トレーズいわく、このガンダムは「兵器ではない」「エピオンは勝者となってはならず、敗者としての帰還を望む」とのこと。
結局、ヒイロがこの悪魔的なビジュアルをしたガンダムエピオンに乗ったのは数回のみで、のちにゼクス・マーキスが乗る「ウイングガンダムゼロ」と交戦後、互いの機体を交換することになるのだ。
主役機交代と呼ぶには短すぎる稼働だったが、ガンダムの主人公がいかにもラスボスが乗りそうな禍々しい機体に乗って戦ったという珍しい例であり、非常に印象に残る機体だった。
今回は『ガンダム』シリーズにおける印象的だった主役機の乗り換えシーンを振り返ってみた。『Zガンダム』以降、さまざまな主役機交代が描かれてきたが、ガンダム好きの皆さんにとって記憶に残る交代シーンといえば何を思い浮かべるだろうか。