
ロボットアニメにおいて、「メカが真の力を解放する」「新たな機体と合体する」「新型機に乗り換える」といったエピソードは、いやがおうでも盛り上がるシーンといえるだろう。
長い歴史のある『ガンダム』シリーズにおいても、そのようなイベントは欠かせない。とくに主役機の乗り換えシーンは新戦力を得るとともに、物語の大きな転換点になることも多かった。
そこで今回は、歴代『ガンダム』作品のなかで描かれた、象徴的な主役機の乗り換えシーンをピックアップ。いろいろな側面から印象に残った主役機交代の場面を振り返ってみたい。
※本記事には各作品の内容を含みます。
■ガンダムシリーズ初の主役機交代
テレビアニメ『機動戦士ガンダム』の主人公アムロ・レイは、最初から最後まで基本的には「ガンダム(RX-78-2)」に乗り続けた。シリーズ初の主役機交代が描かれたのは、続編の『機動戦士Zガンダム』でのこと。
主人公のカミーユ・ビダンの最初の搭乗機はティターンズから奪った「ガンダムMk-II」である。このガンダムMk-II自体はカッコよかったが、視聴者としては作品タイトルになっている「Zガンダム」がいつ登場するのか気になった人も多いはず。
そしてファン待望のときがついに訪れることに。第21話の「ゼータの鼓動」というサブタイトルと、次回予告の中で少しだけ登場した戦闘機風の新型機の姿に期待は高まった。
結論からいうと、第21話でたしかに新型機のZガンダムは登場した。しかし、カミーユは終始ガンダムMk-IIに乗っており、ティターンズの新型である「ガブスレイ」に圧倒される。その窮地に現れたのが、アポリーが運搬してきたウェイブライダー形態のZガンダムだったのである。
結局21話ではカミーユがZガンダムに乗り込むことはなく、ガンダム史に残る初めての主役機交代は次回に持ち越しとなった。正直なところ、多少肩透かしを食らった感は否めなかった。
続く第22話「シロッコの眼」でようやくカミーユがZガンダムに搭乗し、MS形態への可変シーンも描かれた。しかし、いわゆる主役機交代を象徴するような無双シーンなどはなく、比較的地味な交代回だったのが逆に印象に残っている。
■もはや伝説と化した、主役機交代後の戦闘シーン
わりと地味に感じた『機動戦士Zガンダム』の主役機交代回とは対照的に、あまりにもドラマチックな描かれ方で伝説となったのが、テレビアニメ『機動戦士ガンダムSEED』の主役機交代シーンである。
物語の中盤、主人公のキラ・ヤマトが乗るストライクガンダムは大破し、かつての親友と殺し合いをしたキラの心も深く傷ついていた。
しかし戦いを終わらせるために、キラは再度戦うことを決意。その意志に応えラクス・クラインが与えたのが、新たな機体「フリーダムガンダム」である。
第35話「舞い降りる剣」でアークエンジェルが絶体絶命の危機を迎えたとき、大空から舞い降りて窮地を救い、艦を守るようにザフト軍に立ちはだかったのが、新型機フリーダムガンダムに乗ったキラだった。
この劇的な場面でT.M.Revolutionこと、西川貴教氏による挿入歌『Meteor -ミーティア-』が流れ出す。そのまま翼を広げたフリーダムは、圧倒的な強さで戦場を支配していくのだ。
フリーダムに乗り込んだときの起動シーケンスから始まり、主役機交代を印象づける圧巻の戦闘シーン、そしてガンダム史に残る名曲。いずれもシリーズ屈指のインパクトが感じられた回だった。