『ONE PIECE』悪魔の実に隠された真実とは… 「能力はおれを選んだ」「意思が宿る」重要人物の意味深発言から“謎”を読み解くの画像
DVD「ONE PIECE〝3D2Y〟 エースの死を越えて! ルフィ仲間との誓い[通常版]」(エイベックス・ピクチャーズ) (C)尾田栄一郎/集英社・フジテレビ・東映アニメーション

 尾田栄一郎氏が描く人気少年漫画『ONE PIECE(ワンピース)』(集英社)。作中のキーアイテムとして、食べた者は超常的な能力が得られる「悪魔の実」があり、28年の連載の中で多数の能力者が登場した。

 実にさまざまな悪魔の実の能力が描かれており、その特殊能力を駆使したバトルは大きな見せ場といえるだろう。

 そんな悪魔の実にはいろいろな謎が存在したが、物語が進むにつれて新たな真実が明かされようとしている。作中には、そのヒントになりそうな意味深なセリフも飛び出し、読者のあいだで話題となった。

 そこで今回は物語初期の段階で途中離脱した読者が驚きそうな、悪魔の実にまつわる重要そうな発言を取り上げてみたい。

※本記事には作品の核心部分の内容を含みます。

■最高権力者が明かした“意思”の存在

 第1044話で、世界政府の最高権力者である五老星が、悪魔の実にまつわる衝撃的な事実を明かした。それは「動物(ゾオン)系の実には意思が宿る」というものだ。

 その発言が飛び出したのは、まさにワノ国で四皇のカイドウとルフィが激戦を繰り広げている最中、ルフィが食べた「ゴムゴムの実」の能力が覚醒した瞬間でもあった。さらに「ゴムゴムの実」には、「ヒトヒトの実 幻獣種モデル“ニカ”」という、もうひとつの名があることも同時に判明したのだ。

 五老星によれば、世界政府はずっと「ゴムゴムの実」を回収しようと試みてきたが、結局800年もの間、一度も手中に収めることができなかったという。

 それはまるで悪魔の実自体が意思を持って世界政府から逃げているようであり、悪魔の実がただの「力の源」ではなく、ある種の「意思」を持った存在である可能性が示唆されたシーンである。

 ちなみにルフィの食べた「ゴムゴムの実」のもうひとつの名についた「ニカ」というのは、かつて存在した神の名であり、はるか昔の巨大な戦いでは、世界政府の前身となった集団と敵対したとされている。

 その名を持つ悪魔の実が世界政府から逃げていたという説からは、まるでニカの意思が宿っているかのようにも思える。そう考えると、ルフィがこの実を口にしたのも、単なる偶然ではなく、何か意味があったのかもしれない。

 世界政府に従わず、圧政や差別に抗い、仲間を信じて突き進むルフィの在り方こそが、かつて「解放の戦士」と呼ばれた“ニカ”という力にふさわしかったとも考えられそうだ。

 悪魔の実には「意思」があり、それがルフィという人間を選んだと解釈すればかなり納得がいくのだが、はたして真実はどうなのだろうか。

■実はアラバスタ編から伏線が張られていた?

 比較的最近、五老星という世界政府のトップの口から語られた、悪魔の実に「意思が宿る」という発言。しかし、物語の序盤である「アラバスタ編」にて、すでにその伏線のようにも見える発言があったことをご存じだろうか。

 第184話では、クロコダイル率いる「バロックワークス」の面々がアラバスタ王国を乗っ取ることを画策。そのバロックワークスのエージェントであるMr.4とチョッパー&ウソップが激突する。

 その戦いの中で、Mr.4の愛銃「犬銃ラッスー」が登場する。ラッスーは胴体が銃のような形状をした巨大な犬で、いかにも不思議な生物に思えたが、その正体はただの銃に悪魔の実の「イヌイヌの実 モデル“ダックスフント”」を食わせて誕生した生命体であることが判明した。

 物に悪魔の実を食べさせることができるという、前代未聞の設定が初めて明らかになった重要な場面である。

 このとき、ウソップは「元が銃なら何で動いてんだ!?」「悪魔の実に意志があるわけねェだろう」と当然の疑問を口にし、その答えはこの段階では得られなかった。この当時はギャグ的なシーンだと思った人も多いだろう。

 しかし、今あらためて考えると、先に触れた五老星の「動物(ゾオン)系の実には意思が宿る」という発言につながる伏線にも受け取れるシーンなのである。

 ちなみに作中では「意志」と「意思」という二つの漢字が使われている。「意志」は目的達成のための意欲などを指し、「意思」は何かを成そうとする気持ちを指す。その違いを踏まえたうえで、あえて作者の尾田栄一郎氏が使い分けている可能性も考えられるだろう。

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