共演は70作以上!山寺宏一さんとのデュオの感想は?
――今回は山寺さんとの掛け合いがおもしろく、見どころのひとつです。お互いに笑いそうになったシーンなどありましたか?
速水 カビールがディルを失ったと思って憔悴しきってヘロヘロになって、老けた感じになるシーンはちょっと笑いましたね。
――ふたりで歌うシーンはイイ声の応酬で笑いも誘い、特に盛り上がるシーンのうちのひとつでした。
速水 山寺くんと一緒に歌うシーンは、始まる前は「山寺くんとどういう感じのデュオになるんだろう」という楽しみがすごくありましたね。実は、当初はユニゾンで歌う予定だったんですよ。ところが山寺くんが「これ、僕が1オクターブ上で歌いますよ」と提案してくれたんです。
――そうだったんですか! 当初はふたりとも低音だったんですね。
速水 そうなんです。1オクターブずらしたことで、よりパワフルに聞こえるようになったかなと思います。
――たしかに奥行きを感じました! 調べたところ、山寺さんとは70作品以上で共演されているようですね。
速水 へー、そんなに! 僕のほうが少しだけ先輩で彼がデビューした頃から知っているんですが、当時からとても器用でセリフも明晰で、「すごい新人が出てきたな!」と思っていましたね。
――速水さんご自身がデビューした当時を振り返ると、いかがですか?
速水 デビューしたばかりの頃は、この仕事がイヤでイヤでしょうがなかったんですよ。機会があれば辞めようと思っていたんですが、デビューして2年目くらいですかね、病気になって入院しまして。レギュラーの仕事があったんですけど、退院後も事務所に何も言わずにずっと家にいたんです。
――まだ入院中ということにして、仕事に行かなかったんですね。
速水 そう。そしたらフェードアウトできるかなと。けど、不幸なことに事務所から電話がかかってきたんです。
「何してるの?」
「いや、あの仕事はもう僕じゃなくなりましたよね。他の人に変わったんじゃないですか?」
15機のマシンが合体する作品で、15分の1のキャラクターの役でした。まず出てこないし、喋っても一言「ラジャー!」くらいしか言わない役だったので、「行かなくていいかな」と思っていたんです。そうしたら、「行きなさい」と注意されて、それをきっかけに行くようになって、しばらくすると先輩たちとも喋れるようになった。その後、『超時空要塞マクロス』(1983年~1984年)のオーディションに受かってから、仕事が楽しくなってきたんです。