■貴重な「ふくろ」も登場していた新設設計

 最初は『魔界大冒険』の世界が舞台で、その後、『海底鬼岩城』『竜の騎士』『日本誕生』と様々な世界を舞台に冒険していく。

 難易度は比較的抑えめの印象。とはいえ、どんどん先へ進めてしまうとさすがに敵が強くなってくるため、しっかりとレベルを上げつつ進めていく必要がある。

 敵キャラとしては普通にモンスターが出てくるが、『ドラえもん』らしいかわいいデザイン。だが、原作にも登場した「デビルモンキー」や「デモン」といったモンスターも登場する。原作ではこれらの敵には固有の名前はついていなかったが、RPGということもあり命名したのだろう。

 また、敵モンスターに「ネズミ」がいるのだが、ネズミに遭遇するとドラえもんは必ず麻痺してしまい、何ターンか動けなくなってしまう。毎回動けなくなるのは結構うっとうしいが、原作をリアルに再現した仕様に感心させられる。

 さて、同作のシステムの特徴として、宝箱などからアイテムを手に入れたときにドラえもんがポケットにしまうということが挙げられる。当時は『ドラクエ』ではアイテムを持てる数が限られており、持ち物がいっぱいになると預かり所に行かなければならなかった。ドラえもんはその点、四次元ポケットを持っているので、困ることはない(入手したアイテムをまずポケットに入れてしまうのが玉にキズ)。『ドラクエ』ではスーパーファミコン用タイトルである『ドラゴンクエストVI 幻の大地』でようやく初登場した「ふくろ」に相当するシステムが、ファミコンソフトですでに使われていたというのは画期的といえよう。

 魔界のボスは原作にも登場した大魔王デマオンで、銀の矢を使って大ダメージを与えるという原作どおりの仕様なのも憎い。かわいらしいデザインのモンスターに加えて、ポセイドン、ツチダマといった原作に登場した敵と戦うこともあり、原作のイメージを壊さない作りがすばらしい。

 以上、ざっと振り返った『ギガゾンビの逆襲』だが、『ドラえもん』が好きな子どもたち向けに難易度を落としつつ、かつ斬新なシステムをわかりやすく盛り込み原作の世界観を損なわない形に作り上げている印象。今回実は筆者にとっての初めてのプレイとなったが、十分楽しめる内容だった。ただ、現在はNintendo Switchオンラインなどでの配信はなく、プレイするには中古ソフトを購入し実機で遊ぶしかない。セーブするために電池交換済みのものを探す必要があり、そのあたりはなかなかハードルが高いのは確かだ。

 良作としてアンケートで票が集まるのも納得の出来であり、筆者も子どもの頃に出会いたかった。リアルタイムでプレイした人がうらやましく思った次第だ。

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