■伝説の感動シーン、鉄郎とメーテルの別れ「わが青春の銀河鉄道」

 最後は『銀河鉄道999』を象徴する感動エピソードである最終回「わが青春の銀河鉄道」を紹介したい。

 長い旅の果て、ついに終着駅である「惑星大アンドロメダ」に到着した999号。しかしそこで鉄郎を待ち受けていたのは、メーテルの母・女王プロメシュームの命令により、機械世界の歯車である1本のネジにされるという過酷な運命だった。

 だが、以前鉄郎を助けてくれたクレアの母親・メノウの機転により鉄郎は脱出し、メーテルは機械化世界を支えるエネルギーの“るつぼ”を破壊してプロメシュームを倒す。

 これでメーテルと一緒に地球に帰れると思った鉄郎だったが、メーテルは「遠く時の輪の接するところで……」「まためぐり会いましょう…」という言葉を残し、鉄郎に別れを告げるのであった。

 親子のように、友達のように、ときには恋人のように寄り添いながら長旅を続けてきた2人が別れるシーンは、悲しくも美しい。

 「私は…あなたの少年の日の心の中にいた青春の幻影…」「さようなら私の鉄郎…」と告げ、鉄郎に口づけをするメーテル。この別れのシーンは、鉄郎が少年から青年へと成長した瞬間ともいえるだろう。

 ちなみに『銀河鉄道999』の最終回は、原作コミックス、アニメ、劇場版でそれぞれ内容が少々異なる。しかしいずれの作品でも鉄郎がメーテルと別れ、一人で歩き出す姿が印象的だ。

 コミックスでは「いつか…こういう時が来るって覚悟してたから…みっともないことはいわないよ!!」と、気丈に別れを受け入れる鉄郎の成長した姿に、思わず感涙してしまった人は少なくなかっただろう。

 

 『銀河鉄道999』は全体的に物悲しいストーリーが多いが、同時に「人間はどう生きるべきか」という普遍的なテーマを問いかけてくる作品だ。しかし、衝撃的で悲しい物語だけであったなら、これほど長く愛され続ける名作にはならなかっただろう。

 希望、友情、そして愛情といった温かい感動が描かれているからこそ『銀河鉄道999』は不朽の名作として、いつまでも私たちの記憶に残り続けるのだ。

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