本編より面白い!?レトロゲーム「おまけ要素が豪華すぎた」名作たち 「これだけでも売れるんじゃ…」の画像
画像は『ニンテンドークラシックミニ スーパーファミコン』(C)Nintendo

 最近のゲームでは、おまけ要素やサブストーリー、追加コンテンツなどが盛り込まれることが多く、本編以外にも楽しみが続く構造が一般的となっている。

 しかし、「ゲームはクリアしたら終わり」が当たり前だったレトロゲームの時代に、ひときわ異彩を放ったソフトがあった。本編そっちのけで、“遊ばせる”ことを前提に、まったく別ジャンルのモードを搭載した異色の作品がある。

 今回は、そんな“おまけこそ本編”とも言える、驚きと豪華さを備えたゲームタイトルを振り返っていく。

■突如RPGが始めるファミコン『アメリカ横断ウルトラクイズ』

 まずはクイズゲームかと思いきや、クリア後にまさかのRPGがスタートするファミコン用ソフト『アメリカ横断ウルトラクイズ 史上最大の戦い』を振り返りたい。

 同作は日本テレビ系でスペシャル番組として放送されていた一般視聴者参加型のクイズ番組『アメリカ横断ウルトラクイズ』を題材にしたゲーム。「◯×クイズ」「空港でのじゃんけん」「機内クイズ」「ドロンコクイズ」など毎度おなじみの問題に加え、アメリカ大陸に着いてからも「金塊堀り」に「バラマキクイズ」など各地で名物問題が出題。最後はニューヨークの夜景をバックに優勝を目指すという流れだ。

 だが、番組再現に忠実な極めて真面目なクイズゲーム……と思いきや、クリア後にまさかの展開を迎えるのが本作なのだ。

 というのも、優勝の感動が冷めぬうちに、突如としてゲームが「RPGモード」に突入する。RPGモードでは、フィールドを歩いて人と話し、店で買い物をし、謎を解いて進むという、王道RPGの基本をしっかりと踏襲。戦闘はクイズ形式で行われ、3択問題に正解すると敵にダメージ、間違えるとプレイヤー側がダメージを受けるという仕様だ。

 最終的にRPGをクリアすると、「実はこのRPGこそがウルトラクイズ優勝の副賞だった」ということが明かされる。そのシュールさは突き抜けており、プレイヤーの多くは「何がどうしてこうなったのか」と呆然としたに違いない。

 「クイズゲームなのにRPGになるなんて誰も予想しなかった」という当時の体験談が今もネット上で語り継がれている、まさに「ゲームのおまけ史」に残る1本だ。

■アルバイトに精を出す…スーパーファミコン『ゼロヨンチャンプRR』

 レースとRPGの融合という、斬新なゲームシステムで知られる『ゼロヨンチャンプ』シリーズ。なかでも、スーパーファミコンの『ゼロヨンチャンプRR』は、おまけ要素の域を完全に逸脱していたタイトルだ。

 本作の基本は、400メートルの直線をいかに速く走るかを競う「ゼロヨンレース」で勝ち抜いて賞金を獲得し、車をチューンナップしていくことで日本最速を目指すというもの。しかし、資金稼ぎの手段として用意された「アルバイト」によるミニゲームの充実ぶりが尋常ではない。RPG、麻雀、パズルなど、多種多様なゲームがプレイ可能で、しかもそれぞれが独立した完成度を誇っていた。

 とりわけ有名なのが、「オフィスビルの警備員」のアルバイト。これはRPGで、パーティを編成し、ダンジョンを攻略していく内容となっている。『ブレスオブファイア』などの斜め見下ろし型のバトルで、忍者の末裔の「あかね」や看護師の卵である「マリアン」、海外旅行が趣味のマーニャ系の美女「しょうこ」に妖術使いの僧侶「無道」、特技パチンコの「銀玉おやじ」らの中からパーティを組み、ビル警備を進めていく。階層を上がりながら戦闘を重ね、武器や装備を整えていくというシンプルな作りだが、ゲームバランス、ゲームデザインが妙に安定しており、ハマると抜け出せない魅力に溢れているのだ。

 プレイヤーによっては本編そっちのけで警備員RPGばかりプレイし続けることになり、気づけば莫大な資金が手に入り、レースではあっさりと勝ててしまう。こうした逆転現象から、「レース部分がオマケ」「RPGが本編」とまで言われる始末だった。

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