
ファミコン、ゲームボーイ、スーパーファミコン——。懐かしのオモチャというだけでなく、数万円から数十万円の値段がつくこともある“コレクターズアイテム”としても注目されている「レトロゲーム」の世界。そんな名作ソフトがズラリと並ぶ東京都・吉祥寺にある『ハードオフTOKYOラボ吉祥寺店』の店長にして、自身も大のゲームコレクターである大竹剛氏が、自身の思い出や裏話を交えつつ、毎回1本のソフトを語るこの連載。今回、吉祥寺店のショーケースに並ぶソフトの中から取り上げるのは——?
■『ゲーム&ウオッチ』のほかにもユニークな電子ゲームがいっぱい!

ハードオフ大竹店長の「レトロゲームちょっといい話」第9回
『ハードオフTOKYOラボ吉祥寺店』の店長、大竹剛です。今回は少し趣向を変えて、「電子ゲーム」の世界をご紹介しましょう。
任天堂の『ゲーム&ウオッチ』が発売された1980年前後には、いろいろなメーカーからさまざまな電子ゲームが出ていました。そのなかから今回は、バンダイのLCDゲームにフォーカスしてみましょう。
今回ご紹介するのは、1981年から数年間にわたって発売されたと思われる商品たちです。
当店で現在販売しているのは、『LCDゲームデジタル』シリーズの『ラスベガス』が、1万1000円(税込)。また、『LCDソーラーパワー』という、太陽電池でプレイできるシリーズの『悪霊の館』が、取扱説明書なしの状態で1万6500円(税込)となっています。
当時、私は中学生。もちろん『ゲーム&ウオッチ』に夢中になっていたんですが、バンダイのLCDゲームもいくつか持っていました。今になって、テレビコマーシャルが流れていたなんて話も聞くんですが、私が住んでいた新潟では見なかったですね。おもちゃ屋さんでパッケージを見て、その“世界観”にひかれて買ったんだと思います。
任天堂では絶対ゲーム化しなそうな題材ばかりで、それが独特で面白かったんですよ!
■“コレジャナイ感”が子ども心に刺さったバンダイ『LCDゲームデジタル』
『LCDゲームデジタル』シリーズで私が持っていたのは、まず、シリーズ初期に発売された『クロスハイウェイ』。主人公はヨッパライのおじさんで、クルマが行き交う道を横断させて、電車に乗せるゲームです。信号も横断歩道もない道路を、クルマが走ってくるなか渡っていくなんて、きっと任天堂じゃ企画通らないですよね(笑)。
そういうユニークなところが、子ども心に刺さったんでしょうね。ゲーム性も、ゲームセンターの『フロッガー』(※)に近いものを感じて、それが家で遊べるとお気に入りでした。(※コナミのアーケードゲーム。カエルを操作し、クルマが行き交う道などを渡らせて巣を目指す)
同時期に発売された『大地震』も持っていました。主婦が台所にいるとグラッときて、冷蔵庫が倒れそうになったり、ガスコンロから火事が発生しそうになったり……。内容はともかく、地震をゲームにすること自体、今の時代ではNGかもしれません。でも、『ゲーム&ウオッチ』でも、最初に出た4種類のなかでは、ビル火災で救助を行う『ファイア』がいちばん人気あったんじゃないかな。同じような感覚で、『大地震』も気に入っていました。
少し後に発売された『ハンバーガーショップ』も大好きでしたね。ハンバーガー、ポテト、コーヒーといったメニューのなかから、お客さんが欲しいものが絵で表示されるんです。それと同じものをカウンターから取ってきて渡すのですが、いっぺんに何種類か注文してくるので、覚えられなかったり、間違えたり……。
今、振り返ると運営シミュレーションを先取りしていたとも思いますが、当時はそんなゲームは初めてで「仕事みたい」って驚きましたよ、これは本当に遊びなのかなって(笑)。
当店で販売中の『ラスベガス』もひとひねりあって、スロットを回すのですが、そのコインはカジノで拾い集めて調達するんです(笑)。そのほか、占拠されたビルからダイナマイトが降ってくる『バクダンマン』、バイキンを消毒液でやっつけて虫歯を防ぐ『ドクターデンタル』などなど、面白いテーマのゲームがいっぱいありました。ゲーム機自体も『ゲーム&ウオッチ』よりひとまわり小さくて、当時は“コレジャナイ感”が漂っていましたけど、大人になってから見るとすごく魅力的ですよね。