■勝利の立役者はどこへ……(無敵鋼人ダイターン3)
最後に紹介したいのは『ザンボット3』の後番組として、1978年から79年にかけてテレビ放映された『無敵鋼人ダイターン3』。
全人類をサイボーグ化しようと暗躍する「メガノイド」に対抗するため、若き富豪・破嵐万丈がスーパーロボット「ダイターン3」で戦う物語だ。
明るくキザな万丈が主人公で、前作『ザンボット3』に比べると明るくコミカルなテイストで描かれていたが、万丈の生い立ちを知ると印象はガラッと変わる。
実はメガノイドを開発したのは万丈の父・破嵐創造。妻や長男までサイボーグにしたあげくに死なせ、サイボーグたちは自分たちが人類より優れているとして反乱を起こしたのである。
創造の次男である万丈は、母の手引きでダイターン3と大量の金塊を持って地球に脱出。数年後、万丈は金塊を元手に大きな邸宅を構え、仲間たちとともにメガノイドによる人類支配を阻止するために立ち上がった。
つまり万丈は元凶である父親の後始末のために戦うことになるのだ。
その最終回(第40話)「万丈、暁に消ゆ」では、メガノイドの拠点である火星が地球に向かって動き出す。一方、万丈やその仲間たちはメガノイドとの最終決戦のため、火星を待ち受けていた。
出撃した万丈は、メガノイド首領であるドン・ザウサーと対峙。ドンとの激闘のなか、意識を失いかけた万丈に、亡き父の声が聞こえてくる。しかし万丈は「今のは僕の、僕自身の力だ」「父さんの力など借りはしない」と突っぱねた。
その万丈に呼応するようにダイターン必殺の「サン・アタック」が炸裂。ついにドン・ザウサーを撃破した。
そしてドンの宮殿の前にはメガノイドの指揮官コロスの亡骸が横たわり、それを真剣な表情でダイターンから見下ろす万丈。そのとき彼は「僕は……嫌だ」と意味深な言葉をつぶやき、宮殿は大爆発を起こすのである。
こうして地球に平和が訪れた。三条レイカ、ビューティフル・タチバナ(ビューティ)、戸田突太(トッポ)といった仲間たちは、次々と万丈の屋敷を後にする。そして最後に執事のギャリソン・時田が番組の主題歌を口ずさみ、バスで去っていく。
すべての明かりが消えた万丈の屋敷だが、なぜか1部屋にだけ明かりが灯り、そこで物語は終了する。
結局、主人公の破嵐万丈がどうなったのか作中ではまったく説明がなく、ファンの間でさまざまな憶測が飛び交った。また、最終話の意味深な万丈のセリフから、実は彼もサイボーグ(メガノイド)だったのではないかと考察する声も目立つ。
主人公目線で考えるととてもハッピーエンドには見えなかったが、いろいろと考えさせられる最終回である。
さまざまなものを犠牲にして、ようやく勝利をつかんだ主人公たちだからこそ、一視聴者としては幸せになってほしいという思いは強い。だがスッキリしない最終回には、その余韻が楽しめるという側面もある。皆さんが「意味深な最終回」だと感じた作品には、どのようなものがあるだろうか。