■じわじわ怖い「知らない誰かがいるゾ」
「知らない誰かがいるゾ」は、みんながかくれんぼをして遊んでいる場面から始まる。鬼のマサオくんがボーちゃん、ネネちゃん、しんちゃん……と順調に見つけていくのだが、その途中で謎の男の子が突然姿を現す。
男の子は青白い顔をしていて、うっすら笑みを浮かべてただそこに立っている。そして一言もしゃべらないまま輪に加わるのだが、それに対するみんなの反応が妙なのだ。突然現れた男の子に驚くでもなく、一緒に遊んでいたかと思うと、かくれんぼでもおままごとでも「1人多い」ことへの違和感を語り始める。
いつものメンバーに1人知らない子が加われば、「1人多い」のは当然だろう。しかし、子どもたちは知らない誰かがいることはなんとなく察知しつつ、その存在をきちんと認識できてはいないらしい。この“なんとなくおかしい”、妙な雰囲気が、じわじわと恐怖を与えてくる。
しかも男の子は最初から最後まで一言もしゃべらず、表情も変わらない。おまけに目元がうっすら影になっていたり、視線がどことなく視聴者のほうを見ているようだったりと、とにかく不気味だ。
その姿を見た園長先生は恐怖に震えつつ「座敷童子」ととらえようとしていたものの、結局その正体は明かされないまま。本当に座敷童子のような良い妖怪ならいいが、そうでなかったら……。いろいろと想像をめぐらせてしまう、なんともいえない余韻が残るラストだった。
今回紹介したように、『クレヨンしんちゃん』のホラー回は意外としっかり怖いものが多い。さまざまなタイプの話がそろっているので、人によって心に残っているエピソードもきっと違うはず。あなたの心に残っている「クレしんホラー回」には、どんなものがあるだろうか。