■脇役がいい味出しまくり!豪華なキャスト陣をプレイバック

 本作は、主人公の恋を支えるネット民や友人たちの配役が絶妙だ。

 剛司の家族では、オタク嫌いながらも兄想いな妹役を堀北真希さんが熱演。当時、すでにブレイク間近の存在だった堀北さんは、そこまで出番が多くないながらも可愛らしさが爆発している。

 第1話から登場する足首フェチのオタクには、劇団ひとりさんが起用された。ネタのときもそうだがひとりさんはオタクの演技がハマる。「ミーナ! 足首を〜」と声優にカメラを向ける姿には思わず笑ってしまう。

 そして、酔っぱらい役には泉谷しげるさん。普段はお酒が飲めないという泉谷さんだが、あまりに酔っ払いの演技が自然。ちなみにこのとき、剛司と一緒に泉谷さんを捕まえるサラリーマン役は、映画版で電車男を演じた山田孝之さんが務めている。

 個人的に好きだったのが、勝手に電車男に勝負を挑んで勝手に敗れていく桜井和哉役の豊原功補さんだ。イイ男ではあるものの隠れオタクでちょっとおバカな彼は、何かと作戦を練って沙織にアプローチをするもことごとく自滅する。しかも可哀想なくらい残念な方向に進んでしまうのだ。クールなイメージの豊原さんだが、こんなコミカルな役もハマるのかと、演技の幅の広さに驚いた。

 最後は、電車男の強い味方となるネット民。最も印象的な人物といえば、毒男板の管理人かつ電車男の名付け親の皆本宗孝役だ。演じたのは小栗旬さんで、個性的な髪型とクールな表情でパソコンを見つめ、まさかの手打ちでAAを作り上げていく姿が反響を呼んだ。本作は、ブレイク前の小栗さんが見られる貴重な作品でもあるのだ。

 さらに、牛島貞雄役に六角精児さん、一坂進役に温水洋一さん、富永役に我修院達也さん、カップルの男役になすびさんという顔ぶれが並ぶ。難しいネットの実写化も、彼らの個性的な演技によって成功したと言えよう。

 テンポの良さ、ストーリーのわかりやすさ、盛り上がり方、どこをとっても面白さの詰まった『電車男』。外資系会社に勤める美女なお嬢様など手が届かない存在と諦めてしまいそうなものだが、画面の向こう側の仲間達に支えられた剛司はどんどん前向きになっていく。その一生懸命な姿に、視聴者は惹き込まれてしまうのだ。令和ではどんな作品になるのか、リメイク版も見てみたいものである。

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