■転校で離れたうえにアメリカ留学、飛行機のトラブルまで…『月の夜 星の朝』
本田恵子氏の代表作の1つでもある『月の夜 星の朝』は、1983年から85年にかけて連載された人気作だ。
主人公は幼い頃に結婚を誓い合った梁川りおと坂本遼太郎。2人は中学生になった10年後に再会し、ドラマ共演をきっかけに紆余曲折ありながらも恋を育んでいく。
しかし惹かれ合ったのも束の間、遼太郎の父親が再婚したことで、りおは東京、遼太郎は名古屋と離れ離れになってしまう。それでも交際を続けた2人だが、今度は遼太郎がアメリカへ留学することに。りおはアメリカ留学中の遼太郎に会いに行くが、その帰国便が墜落したとの知らせが遼太郎の元に入るのであった。
りおと遼太郎は幼い頃から両想いでありながら、お互い素直になれないうえに恋のライバルがたくさん登場してなかなか結ばれない。やっと両想いになれたかと思えば転校や留学、飛行機の墜落事故といったトラブルが生じ、くっついては離れる展開に読者をヤキモキさせた。
本田氏の描く、柔らかくふんわりとした可愛らしい絵とは対照的に、若い2人に襲い掛かる試練はあまりにも多く、容赦がない展開ばかりであった。
このように、かつての『りぼん』に掲載されていた少女漫画には、ヒロインに次々に襲い掛かる試練が多く描かれていた。あまりに理不尽な状況に同情してしまうが、それほど高いハードルを乗り越えて結ばれた恋愛には、心底「よかった!」と感動を覚えるものだ。
実際にこうした恋のお邪魔になるトラブルは起きてほしくないが、少女漫画の世界であれば、どっぷりハマってしまうのも事実なのである。