
1987年に記念すべき第1作目が発売されて以来、壮大な世界観と重厚なストーリー、独自の戦闘システムで多くのプレイヤーを魅了し続けている『ファイナルファンタジー(FF)』シリーズ(スクウェア・エニックス)。
言わずと知れた日本を代表する伝説的RPGシリーズである本作には、これまで個性的な敵キャラクターが登場し、プレイヤーの前に立ちはだかってきた。
一度見たら忘れられない印象的な見た目の敵キャラクターも多いが、なかには独特の姿や演出によってプレイヤーをゾッとさせてしまう、恐ろしい存在も登場している。
そこで気を抜くとちょっとしたトラウマになりかねない、『ファイナルファンタジー』シリーズに登場する恐ろしいビジュアルの敵たちを見ていこう。
※本記事には各作品の内容を含みます
■怪しく踊る奇怪な人形たち…『ファイナルファンタジーIV』カルコブリーナ
1990年に『スーパーファミコン』が発売されたことで、ゲームの表現力は一気に向上した。そのマシンパワーを存分に活かし、1991年に登場した『ファイナルファンタジーIV』は、これまでのシリーズ作を凌駕するグラフィックとBGMでプレイヤーを圧倒した作品だ。
そんな本作において、不気味な見た目でプレイヤーを驚かせたのが、ドワーフ城のボス「カルコブリーナ」である。
見た目は人間の子どもを模した簡素な人形で、カルコ、ブリーナと名付けられた計6体を同時に相手取ることとなる。人形に魂が宿り襲ってくるシチュエーションだけでも十分に不気味なのだが、実は群体とのバトルはあくまで前哨戦に過ぎない。
カルコ、ブリーナのどちらかを全滅させると、なんと残った人形たちは突如合体し、一体の巨大な人形・カルコブリーナとなって襲い掛かってくるのだ。
二つくくりにした髪型から少女を模しているのだろうが、白目をむいた虚ろな眼差し、衣服をまとわない青白い胴体、球体関節の無機質さなど、その造形はまさにホラー作品の怪異そのものである。
また、ボス戦で流れる専用BGM『踊る人形カルコブリーナ』も、ワルツ調に響き渡るオルガンの旋律がなんとも不穏に響き渡り、恐怖を一層引き立ててくる。
これまでのボスとは一線を画す恐怖演出で、プレイヤーに強烈なインパクト、あるいはトラウマを植え付けたボスキャラだといえるだろう。
■どこまでも追跡してくる恐ろしき執念…『ファイナルファンタジーVI』魔列車
『スーパーファミコン』の表現力を活かした数々の名作が登場するなか、『ファイナルファンタジー』シリーズも着実に進化を遂げていく。
特に1994年に発売された『ファイナルファンタジーVI』は、これまで以上に洗練されたドット表現や独自の世界観によって、シリーズ作としての正統進化を見せつけた作品だ。
本作で最も印象的だったのが、ボスとして登場する「魔列車」だろう。迷いの森で遭遇し、当初は死者の魂を冥界に送る乗り物として登場するが、偶然にもマッシュたちが乗り込むこととなる。車両内には無数の霊魂が徘徊しており、ときには大勢で迫ってくるなど、全体を通して不穏な演出が目立つダンジョンだ。
脱出のため、命からがら先頭車両までたどり着くと、なんとここで、これまで進んできた、魔列車そのものとバトルすることになる。
戦闘は、マッシュらが薄暗い森のなかを走り抜け、追いかけてくる魔列車を迎撃するという型破りな展開に。一見シュールな光景だが、無機質な機械が攻撃を仕掛けながら執拗に追いかけてくる姿からは、計り知れない執念のようなものを感じざるを得ない。
もし倒れ、足を止めてしまったら……と想像させる、実に異色のボスキャラクターだった。