「大福を食べると尿意が収まる」ってホント?上映時間155分『鬼滅の刃 無限城編』の「トイレ対策」を泌尿器科医に聞いてみた!の画像
(c)吾峠呼世晴/集英社 (c)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

 吾峠呼世晴氏の漫画を原作としたアニメ『鬼滅の刃』。ラスボス・鬼舞辻無惨の牙城に迫る映画三部作『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』が7月18日からいよいよ公開となった。しかし、同作は上映時間が155分あることで、「トイレに行きたくなったらどうしよう」という声が発表時より数多く上がっていた作品でもある。

 2時間30分を超える長丁場となると、どうしても「尿意」への不安を感じてしまうもの。この夏、大ヒット中の映画『国宝』も上映時間2時間55分という長尺であることが話題となったが、実際に筆者が映画館に足を運んだ際には、上映中に席を立つ人が何人もいた。

 大人でもこうなのだから、トイレのタイミングを自分で調整しづらい子どもを連れて観る場合は、なおさら気を遣うことになる。

 同作のレイティングは【PG12】区分であり、12歳未満の小学生であっても保護者の指導・助言があれば見ることができる。大人はもちろんのこと、長時間の上映に慣れていない子どもを連れた親にとっては「おしっこをどう我慢するか」「どう我慢させるか」は『鬼滅』を見る上で重要な課題かもしれない。

 ここ最近、SNSでは「大福を食べたら尿意が引っ込んだ」「ボンタンアメがおしっこの我慢に効くらしい」といった対策方法がたびたび話題にもなる。はたして、食べ物ひとつでおしっこが我慢できるのか。神楽坂泌尿器科クリニックの室宮泰人医師に「2時間半の上映に耐えるための心得」を聞いた。

■実体験から生まれた説に「あり得ない話ではない」

 そもそも、何かを食べることでおしっこが我慢できることはあるのだろうか。食べものひとつでおしっこを我慢できるのであれば、頼りにしたいという人は多いだろう。

「断言はできませんが、糖質や炭水化物を摂ることで一時的に尿量が減るという現象は、理論上ありえます。たとえば糖質はグリコーゲンとして体内に貯蔵し、水分を一緒に細胞に引き込む性質がありますから、結果として、尿になる水分量が減ることはあるでしょう。大福やボンタンアメの説がSNSで広まったのは、どなたかが食べて尿意を抑えた実体験の報告がバズったからで、おそらく事実。医学的に見ても全くあり得ない話というわけではありません」(室宮泰人医師/以下同)

 ボンタンアメの原材料は水あめやもち米だ。大福の餅部分も、体内の水分を吸収する食品であり、これらが室宮氏の説明する体の機能によっておしっこを抑え込んでいる可能性が高い。

「その他、映画館で購入できるもので言えば、ポップコーンやチュロスなどもいいかもしれません。特にチュロスは小麦粉ベースで糖質も豊富ですから、尿量を抑える効果も期待できます。ただ、塩味のスナックを食べすぎるのは逆効果で、喉が渇いて水を飲みたくなってしまい、結果的におしっこが溜まってしまうということもありえます。もし選べるのであればチョコ味やキャラメル味のものを購入するのが得策でしょう」 

 長時間トイレに行かないようにするため、室宮医師が最も強調するのは、「水分の摂取を控えること」。さらに、カフェインやアルコールには利尿作用があり、体に吸収されやすいスポーツドリンクも注意が必要と語る。ポップコーンを右手で食べ、左手でドリンクを飲み……という鑑賞スタイルではやはりすぐにおしっこが溜まってしまうようだ。

「水分を摂ってからおしっこになるまでに、1、2時間はタイムラグがあります。ですので鑑賞中はもちろんですが、映画が始まる2時間前あたりから水分摂取に気をつけると良いかもしれません。また、どうしても不安な人は、前日の夕方に少しウォーキングなどの軽い運動をするのもおすすめです。汗をかくことで体の水分量を減らせますから、翌日の尿量を減らす効果にも期待できるはずです」

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