■初代から登場する純粋無垢な子どもは、どう成長したのか

 続いても『Zガンダム』に登場したキャラで、カミーユと双璧をなす問題児、カツ・コバヤシを見てみよう。

 前作『機動戦士ガンダム』ではホワイトベースに搭乗した避難民のひとりで、最終話でカツ(レツとキッカも)はニュータイプの素養を見せている。

 本編の放送前に富野監督は「カツがアムロの2番手になってくる」などとインタビューで発言しており、初代『ガンダム』ファンからも相当な期待が寄せられていた。

 だが、いざ『Zガンダム』が始まると「どうしてこうなった」とツッコミたくなる問題行動を連発。無断出撃をくり返して味方に迷惑をかけたかと思えば、エゥーゴとジオン残党の共闘を拒絶して「絶対に出撃できない!」と意固地になる。

 カミーユは序盤で強烈なやらかしがあったが、カツは登場するたびに小さなやらかしをくり返したイメージだ。

 特に印象的だったのは、パプテマス・シロッコに心酔するサラ・ザビアロフへの恋慕が絡んだときの行動だ。スパイとしてアーガマに潜入してきたサラに惹かれたカツは、彼女の脱出をサポートしてしまう。

 この行動が巡りめぐってシロッコへの嫉妬心につながり、誤射とはいえ自らの手でサラを殺してしまうのだから運命とは皮肉なものである。

 ほかにも、一年戦争のトラウマに苦しむアムロ・レイを焚きつけたり、サラが死んだ責任をハマーン・カーンに押しつけたりと、さまざまな面で浅はかな言動があり、精神的にも未熟さが目立った。

 『Zガンダム』の時点では15歳だったカツ。そんな少年に多くを求めるのは酷だが、初代『ガンダム』の主人公のアムロが15歳でガンダムに乗らざるを得なかった事情を考えると、どうしても比べてしまう。

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