■創作怪談が現実に…『ズッコケ三人組と学校の怪談』

 児童文学でホラーといえばやはり「学校の怪談」は定番だが、『ズッコケ三人組』シリーズにも『ズッコケ三人組と学校の怪談』という作品がある。

 ひょんなことから、自分たちが通う花山第二小学校に「学校の七不思議」がないと思い至った3人組。そこでハチベエの提案で、クラスメイトとともにオリジナルの怪談を作り、それを「七不思議」として広めようということになる。

 トイレのドアの隙間からおじいさんが覗いてくる、校舎の階段から生首がボールのように転がってくる、雨の日になると運動場で大量の赤ん坊が遊んでいる、保健室には寝ると血が止まらなくなる「のろいのベッド」がある……。各々が考え出した怪談はそれぞれ恐ろしく、読んでいるだけで背筋が寒くなる。しかも話が盛り上がった結果、「七不思議」からひとつ増えて「八不思議」になってしまっていた。

 おまけにある日を境に、その八不思議が学校で現実の出来事として起こっていくのだ。トイレにおじいさんが出現したり、給食のパンや牛乳が消えたりといったものは序の口。保健室で寝ていた児童の血が止まらなくなり、救急車が駆け付ける事態にもなった。

 それくらいならまだ思い込みや偶然で片付けられなくはないレベルだが、最終的には雨の日に出現した赤ん坊の大群が学校に押し寄せてくる。襲い来る何百人もの赤ん坊を前に先生や児童が逃げまどう姿は、さながらゾンビ映画だ……。

 学校が舞台となっているのもあって、小学生時代の筆者にとって一番怖かったのはこの作品だ。読んだ後、いつ妙な出来事が起こるかビクビクしながら授業を受けたり休み時間を過ごしたりしていたことを、今でもよく覚えている。

 

 本格的なホラー描写も魅力のひとつである『ズッコケ三人組』シリーズ。本シリーズに限らず、児童文学のホラー描写は意外と大人になってから読み返しても恐ろしく、「子ども向け」と侮れない。あなたの心の中に残っている、子どもの頃読んで恐ろしかったホラー作品には、どんなものがあるだろうか。

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