■真っ赤な顔の9人の男たち…「十面鬼ゴルゴス」

 最後は『仮面ライダーアマゾン』の中でも特に印象的な敵、ゲドンのボス「十面鬼ゴルゴス」を紹介したい。

 第1話から登場するゴルゴスは、ゴツゴツの岩石と融合し全身が真っ赤なのが特徴だ。そして、ボディには9人の悪人の男たちの頭部が埋め込まれているのだが、彼らは自分の意志で喋り、意見をし合ったり、中には葉巻を吸っている者までいるから気味が悪い。

 この悪人たちを演じる役者の目力も凄まじかった。テレビの画面越しに年齢もバラバラな9人の真っ赤な顔がアップになり、目をギョロつかせているのだ。当時はもちろん、令和の子どもたちが見てもトラウマ必至の存在だといえるだろう。

 このような奇妙な見た目をしているゴルゴスだが、もともとは普通の人間だった。だが、野望のため自身の肉体を改造し、人間の血をエネルギーとして生きるようになる。第2話までは9人の悪人たちも普通の人間の顔色だったが、第3話からは顔まで真っ赤に染まってしまった。これはエネルギーが満ち足りている状態で、すなわち人間の血を十分に得ている証拠でもある。

 一度見たら、忘れることのできないインパクトの強いビジュアルのゴルゴス。これが空を飛んだり、ミサイルや火炎を発射したり、挙げ句の果てに下半身にある大きな口から吐き出した泡で獣人を生むことまでできるのだから、たまったものではない。

 

 こうして見返してみると、『仮面ライダーアマゾン』に登場する敵キャラはどれも独特のビジュアル・存在感を誇っており、昭和の『仮面ライダー』シリーズの中でもかなり異色であった。こんな恐ろしい獣人たちにアマゾンは基本は半裸で立ち向かうのだから、とんでもない。もしかしたら『仮面ライダー』史上、最強のライダーといえるかもしれない。

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