「怖すぎて直視できない…!?」『仮面ライダーアマゾン』チビッコの脳裏に焼きついた「超ホラー演出」の画像
『仮面ライダーアマゾン』 Blu-ray BOX(東映ビデオ) (C)石森プロ・東映

 昭和の『仮面ライダー』シリーズの中でも特に異色作だったのは、1974年から放送された第4作『仮面ライダーアマゾン』ではないだろうか。

 本作の主人公・アマゾン(山本大介)はまだ赤ちゃんの時に飛行機事故によって両親を失い、南米の奥地で現地の長老・バゴーに育てられた。秘術による生体改造をされて仮面ライダーアマゾンになるも、人の言葉も分からないまま日本へ戻り、腰巻きだけ身につけた状態でうろつき回る。噛みつきや引っ掻きなど、これまでの仮面ライダーとは一風違った野性的な技を披露していた。

 そんな『仮面ライダーアマゾン』は、ホラー演出も特徴的だった。当時、筆者を含む多くの子どもたちは、その恐怖に驚愕したものだ。今の時代ではおそらく放送できないであろう、『仮面ライダーアマゾン』のトラウマものの恐怖シーンを振り返りたい。

※本記事には作品の内容を含みます

■人を生きたまま丸呑みして意のままに操る「ヘビ獣人」

 まずは、第7話「とける!とける!恐怖のヘビ獣人!?」のエピソードより。

 悪の秘密結社「ゲドン」のボス・十面鬼ゴルゴスは、アマゾンの左腕に移植されてある古代インカ帝国の超科学が秘められた「ギギの腕輪」を常に狙っている。だが、これまでに送り込んだ獣人たちはみんなアマゾンにしてやられていた。

 そこで、“アマゾンを捕らえるには人間を利用するのが得策”と考え、ゲドンで一番悪知恵の働く「ヘビ獣人」を召喚する。

 大柄なヘビ獣人は2本の脚が生えており、大きな尻尾を引きずって歩く。顔もまさにリアルなヘビそのもので、そのビジュアルだけで結構怖い。

 アマゾンを生け捕りにしようと企んだヘビ獣人は、アマゾンの友人・有馬ひろみの父親で生物学者の有馬精一郎を利用しようとし、まずは有馬生物研究所の助手の井崎を襲う。

 ヘビ獣人は井崎を待ち伏せして尻尾で首を締め上げて引き寄せると、なんとそのまま頭から丸呑みに……。まさに本物のヘビの捕食のように生きたまま呑み込まれていく凄惨なシーンだった。井崎は白目を剥いており、その表情もホラー映画に出てきそうな恐ろしさだ。

 その後、ヘビ獣人は井崎を吐き出し「ヘビ人間」にして意のままに操る。井崎は“赤ん坊みたいな言葉も文明も知らない研究材料がいる”と有馬博士の興味を誘い、ひろみが連れてきたアマゾンを言葉巧みに誘導し、天井に設置した鉄製の檻を下ろして捕らえた。すると用済みになってしまった井崎は体内から煙が発生して倒れ、顔面が溶けて絶命してしまった。

 最終的にアマゾンによってヘビ獣人はやっつけられてしまうのだが、いやはや、今考えるとよくこんな凄惨な描写がよく放送されていたものだと驚かされる。こんなシーンを観てしまった子どもたちは、トラウマになってしまっただろう。

■見た目もグロテスク…人喰い人間を作り出す「イソギンチャク獣人」

 第21話「冷凍ライダーを食べる人喰い獣人!」では、無数の触手で頭部が覆われた「イソギンチャク獣人」が登場する。

 イソギンチャク獣人はグロテスクな外見に加え、触手を突き刺して人間の血を吸い、自分の血と入れ替え「人喰い人間」を作り出す。しかも被害者は意識がある中で襲われてしまう……想像するだけで恐ろしい。

 イソギンチャク獣人は水族館の警備員や工事現場の作業員などを襲い、ガランダー帝国(ゲドンの後に登場する悪の組織)へ忠誠を誓う人喰い人間を増やし、すべての人を食いつくす「人喰い人間大作戦」を遂行。人喰い人間にされた者は一応人間としての理性はあるものの、ガランダー帝国の意のままに操られ周囲を襲い出すゾンビのような存在となってしまう。

 水族館の警備員・井口は、息子のイサムがアマゾンの理解者である岡村まさひこの友人であったことから、アマゾンたちに水族館見学を約束していた。

 しかし、見学当日の時点ですでに人喰い人間となっていた井口。対面し笑顔で握手をしようとすると、アマゾンは何か異変を感じ「コイツ、魚臭い」と言ってしまう。だがそれによりイサムは父をバカにされたと怒り、1人で水族館に向かう。

 井口は岡村姉弟を車に乗せて水族館に連れていくのだが、その道中、人喰い人間としての本性を現し、襲い始める。目の周りは真っ黒、胸をはだけさせてイソギンチャクを見せてくる井口は恐ろしく、とても演技には思えないほど邪悪な表情だった。姉・りつ子が慌てて逃げ出すのだが、その必死さもリアルに伝わってきてドキドキさせられた。

 そういえば、初代『仮面ライダー』にも「イソギンチャック」という人喰い怪人が登場している。「アイアイ」などと言いながら人間を吸い込むシーンも、かなり印象的なホラー演出だった。

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