■自分を犠牲に…生徒を守って辞表を出す暴力教師・竹原
帝拳高校には生徒に恨まれている教師がいる。その筆頭が、体育教師・竹原と進路指導教師・沼田だ。体罰を辞さない竹原は腕っぷしも強く横暴で、沼田はしつこく太尊たちのあら探しをする。2人とも彼らを目の敵にしており、何としても停学・退学にしようと目論んでいた。
卒業を控えた太尊たちだが、仲間の大橋英和と武藤章圭がお礼参りとして卒業式後に復讐を果たそうと計画を立てる。(ちなみにこの時、太尊は乗り気ではなく、“やるならタイマン&素手で挑め”と忠告していた。)
だが、その話を偶然聞いていた竹原。就職が決まっているのに親を泣かすようなバカなことはするなと促し、さらに餞別として自分を殴らせるから沼田には手を出すなと言うのである。
いつもと違う竹原の様子に戸惑う太尊たち。そこへ沼田が現れ、先ほどタバコを吸っていただろうと追求してくる。だが、ここでも竹原はそれは勘違いだと彼らを庇うのだ。
憤った沼田は校長に危険分子をこのまま社会に送り出すことが恥だとし、ネタをでっち上げても退学に追い込んで学校の品位を守るべきだと主張した。
職員室でその話を黙って聞いていた竹原だが、その後、沼田には手を出さないように念を押し、約束通り太尊たちに一方的に殴られる。そして、辞表を出し、なんと太尊たちの代わりに沼田を殴るのだった。
実は竹原のこの意外な行動の裏には、とある出来事があった。教師だった父が病に倒れ、その近況を知らせる母からの手紙に、“お父さんのように、今頃はきっと生徒に慕われる立派な教師になっている事でしょう”と書いてあったのだ。その手紙に感化されたのだろう。竹原は考えをあらためたのだ。
その手紙をたまたま目にした太尊は、駅のホームへ一人駆け付け、去っていく竹原に対しみんなが感謝していたことを告げる。竹原はこれまでの行動を顧みて「最低の教師だった」とつぶやき、教師生活で初めて感謝されたことに深く感動していた。
息子を改心させた母の愛を含め、これまでいがみ合ってきた竹原と太尊が分かち合うこのシーンは、本作屈指の名シーンとも言えるだろう。
本作にはこのほかにも印象的な感動シーンが多くある。恋愛面では、帝拳高校の教師・井岡と観月の告白シーンも非常に良かった。
井岡は大企業の御曹司とのお見合いに臨む観月の元へ駆けつけ、彼女を連れ出す。“安月給でだらしなく足も臭くて毛深く、ヅラだけどいいですか”と言う井岡に対し、笑顔で「芸術だわ!」という観月。なんとも素敵だった。
喧嘩パートが多い本作において、このような感動シーンはやはり記憶に残るものだ。当時を思い出し、読み返してみてはいかがだろうか。


