■大器晩成型? 立派な王様に…『ときめきトゥナイト』アロン=ルーク=ウォーレンサー
1982年7月号から1994年10月号まで連載され、「りぼん黄金期」を支えた池野恋氏のファンタジー漫画『ときめきトゥナイト』。3部構成に分かれた長編作品で、それぞれ主人公が異なることでも知られている。
本作での絶対的ヒーローといえば、主人公・江藤蘭世が思いを寄せる真壁俊だろう。ルックスはもちろん、ぶっきらぼうでも優しい俊のイイ男ぶりは群を抜いており、当時読んでいた少女たちはみんな彼に夢中になったものである。
そんな彼の「当て馬キャラ」として登場するのが、俊の双子の弟であり魔界の王子・アロン=ルーク=ウォーレンサーだ。
アロンは登場当初からワガママで子どもっぽく、自己中心的な部分が目立つキャラだった。蘭世に一目惚れしてからは手を変え品を変え彼女に言い寄り、何度も結婚を迫っている。
当時は、そんなアロンを「イイ男」として見ることは当然できなかった。だが、大人になってみると、蘭世を振り向かせようと健気に奮闘するアロンが可愛らしくも思えてくるから不思議である。年下男子の可愛らしさにくすぐられる……といったところだろうか。
だが、アロンはいざという時は頼りになる一面も見せていた。物語の重要な局面である冥王との戦いにおいて、俊と共闘し魔界を守ったアロン。その後は婚約者・フィラと結婚し、立派な魔界の王として君臨している。
本編では終始、俊にぞっこんの蘭世を振り向かせることはできなかったアロン。だが、そんな彼のその後は、2021年から『Cookie』(集英社)で連載されている続編『ときめきトゥナイト それから』で見ることができる。
大器晩成型ともいえるアロンのイイ男ぶりを、ぜひその目で確認してほしい。
リアルタイムで読んでいた当時は分からなかったが、大人になってあらためて見返してみるとサブキャラクターたちの新たな一面に気づけるものだ。メインヒーローではなく、当て馬的な存在として登場する彼らだが、総じて一途にヒロインを想っていた姿が印象的で心を打たれてしまう。
ぜひ、この機会に彼らの魅力を思い出してみてはいかがだろうか? ヒーローさながらの活躍に気づけるはずである。