大人になって魅力が分かった!『天使なんかじゃない』ケンに『ときめきトゥナイト』アロンも…黄金期『りぼん』実は“イイ男”だったサブキャラ男子たちの画像
「特別展 りぼん」公式ビジュアル ⓒ集英社

 少女漫画といえば、自分好みの男性キャラを見つけるのも醍醐味の1つだろう。子どもの頃、読んでいた当時は主人公のヒロインと恋に落ちるヒーローに惹かれていたものだが、大人になってあらためて作品を見返してみると、当時とは違ったサブキャラクターの良さを感じることも多い。

 そこで今回は、創刊から70周年を迎える『りぼん』(集英社)の長い歴史の中でも、過去最高発行部数255万部を記録した1993年末から1994年の「りぼん黄金期」作品に的をしぼって、大人になって魅力がわかったイイ男たちを振り返っていこう。

 

※本記事には各作品の内容を含みます

 

■一途に自分だけを見てくれる『天使なんかじゃない』中川ケン

 矢沢あい氏のヒット作『天使なんかじゃない』は、1991年9月号から1994年11月号まで連載された。高校生徒会メンバーを中心とした男女の青春を描いており、恋愛にも友情にも全力でぶつかっていくキャラたちの姿に勇気をもらった人も多いだろう。

 本作には、主人公・冴島翠が恋に落ちる須藤晃をはじめ、モテ男の瀧川秀一や晃の兄・坂本将志など、魅力的な男性キャラが多く登場する。

 そのなかでも今回紹介したいのが、中学生の頃から翠に片思いをしていた中川ケンだ。メジャーデビューを夢見るバンドマンであり、高校生活の傍ら、ライブハウスでの活動にも打ち込んでいる。

 そんなケンといえば、明るくお調子者で愛されキャラ……そんなイメージがあるだろうが、実は彼は初登場時からイイ男ぶりを発揮していた。

 久しぶりに中学時代の友人たちと集まっていた翠。そこへ遅れて登場したのがケンだった。懐かしさに場が盛り上がっていたところ、ケンはバンド活動のため途中で帰ることに。

 その時、ケンが被っていた帽子を見て、何気なく「そーゆーの欲しかったんだ」と口にする翠。するとケンは即座に翠に帽子を被せて「やる」「ハッピバースデー ミ〜ドリちゃ〜ん♡」と、おどけてみせるのだ。

 翠はそのあとすぐ、秘かに晃が用意していたネックレスのプレゼントをもらう。当時はその恋人らしい晃の行動にキュンとしたものだが、今、読み返してみると、ケンの優しさにグッとくる。

 中学時代から一途に翠を思い続け、誕生日も覚えていたケン。時間がないなか、翠の顔を一目見ようと駆けつけたその姿に愛情の深さを感じてしまうのだ。

 のちに彼は翠に一世一代の告白をして一時は付き合うのだが、結局、晃には勝てなかった「当て馬キャラ」でもある。しかし、翠を想って曲を作り、その曲でメジャーデビューのチャンスを掴むなど、思い返すとカッコよすぎるだろう。

 晃のようにドキドキを与えてくれる男性も良いが、大人になってみると、ケンのように一途に自分だけを大切にしてくれる男性に魅力を感じるのは筆者だけではないはずだ。

■不器用だけど好きな気持ちは負けない!『ママレード・ボーイ』須王銀太

 1992年5月号から1995年10月号まで連載された、吉住渉氏の『ママレード・ボーイ』。本作もまた、当時の『りぼん』を牽引した作品の1つだ。

 突然両親が離婚したのち、パートナーを入れ替えて再婚。そして、その息子もろとも全員で同居するというトンデモ設定の本作。のちにアニメ化、実写化もされている人気作品である。

 本作では、主人公・小石川光希と同居することとなるもう一人の主人公・松浦遊が、絶対的なヒーローとして光を放っていた。

 だが、今回スポットを当てたいのが、光希のクラスメイトで中学生の頃から彼女に思いを寄せる須王銀太である。

 中学時代、些細なすれ違いから光希の告白を断ったことになっていた銀太。誤解を解くことができないまま彼女への思いを抱えていたのだが、そこに突然、恋敵となる遊が現れてしまう。

 銀太はまっすぐな性格で、時々突っ走ってしまう一面もあるキャラクターだ。作中では光希への思いが募るあまり無理やりキスをしたり、遊の元カノに協力して光希を騙そうとするなど、不器用な一面も強く見えていた。

 当時、光希と遊との恋を応援していた筆者。このような銀太の行動が邪魔に思えて、どうしてもモヤモヤしてしまうこともあった。だが、大人になってみるとそんな彼の不器用な部分を理解できるようになり、逆に思いの深さや優しさに目が行くようになった。

 印象的だったのが、2年越しに誤解を解いた際の告白シーンだ。「ほんとは おれだってずっと好きだった ずっと好きだったんだよ!!︎」と、必死に伝える銀太の姿はなんとも切なく、彼の強い愛情が痛いほど感じられる。

 当時から遊派と銀太派に女子の意見は分かれていたが、振り返った今、情熱的で一途な銀太を推したいと思う。

  1. 1
  2. 2
  3. 3