
『ドラゴンボール』などで知られる鳥山明氏は、漫画家としてデビューする前はデザイナーだった。その鳥山氏がデザイン会社に勤めていた際に手がけたとされるジーンズショップ(現在は閉店)の看板には、ネイティブアメリカンをモチーフにした鳥山氏らしいキャラクターが描かれていた。
実は、プロとしてデビューするアマチュア時代から、ずば抜けたセンスを見せたクリエイターはほかにもいる。その代表的な場所が、いろいろな雑誌などで開催された「デザインコンテスト」だろう。
そこで今回は、のちに有名になる漫画家やクリエイターたちが素人時代に投稿して実際に採用された「公募キャラ」や「公募メカ」を紹介したい。
■人気アクションゲームのボスキャラをデザインしたのは…!?
1987年にファミリーコンピュータ向けアクションゲームとして第1作目が発売され、当時の少年たちを魅了。その後大人気シリーズとなったのが、カプコンの『ロックマン』シリーズだ。
『ロックマン』の魅力といえば個性豊かなキャラクター。とくにボスキャラたちの独特のデザインが印象に残っているファンも多いはず。
そんな『ロックマン』シリーズでは、『ロックマン2 Dr.ワイリーの謎』(1988年発売)から『ロックマン8 メタルヒーローズ』(1996年発売)まで、ボスキャラクターのデザイン募集が行われていたことでも知られる。
採用されたキャラクターデザインはゲームの発売前に雑誌で先行発表され、頑張った応募者にはカプコンのオリジナルグッズが送られたり、「開発研究員証明書」が贈呈されたりした。
ちなみに『ロックマン7 宿命の対決!』(1995年発売)では22万通もの応募があったというから驚きだ。
そんな『ロックマン』のボスキャラ募集に応募して実際に採用されたひとりが、のちに『アイシールド21』(原作・稲垣理一郎氏)や『ワンパンマン』(原作・ONE氏)の作画を担当することになる漫画家の村田雄介氏である。
当時中学生だった村田氏は、『ロックマン4 新たなる野望!!』(1991年発売)の「ダストマン」、『ロックマン5 ブルースの罠!?』(1992年発売)の「クリスタルマン」と、まさかの2作品連続で採用されている。
また村田氏と同じくジャンプ作家で『AKABOSHI-異聞水滸伝-』で知られる漫画家の天野洋一氏も、13歳のときに応募した『ロックマン7』の「スラッシュマン」が採用されている。
ほかにも報道用法廷画家として知られる榎本よしたか氏は、14歳のときにデザインした『ロックマン4』の「ブライトマン(原案名はパールマン)」が採用。ロックマン25周年記念で寄稿したイラストによると、カプコンから直接採用の電話が来たうえ、賞品はロックマン4のゴールドカートリッジだったという。
『ロックマン』シリーズのボスキャラ公募は、まさに若き才能の宝庫だったようだ。