■大人気「ミニ四駆」をデザインした意外な人物
1982年にタミヤが発売した「ミニ四駆」は、子どもたちの間で大人気に。その第一次ブームを牽引したのが、徳田ザウルス氏が『月刊コロコロコミック』(小学館)で連載していたマンガ『ダッシュ!四駆郎』である。
そして作中に登場するミニ四駆のいくつかは、雑誌で募集された「デザインコンテスト」から採用されている。
なかでも驚きなのは「ダッシュ3号 流星(シューティングスター)」をデザインしたのは、当時中学3年生だった武井宏之氏だったこと。武井氏は、のちに漫画家として『仏ゾーン』や『シャーマンキング』を生み出すことになる人物だ。
武井少年の描いたミニ四駆のデザイン画(原案名はドラゴンフォース)に感銘を受けた徳田ザウルス氏は、武井家に直電。「進駆郎(ライバル)のマシンに使わせてもらっていいかな?」と許可を得たうえでブラッシュアップを行い、実際作中に登場した。
この出来事をきっかけに武井氏は漫画家を目指して大成功。2006年に亡くなった徳田ザウルス氏の後を受け継ぐかたちで、2015年から続編『ハイパーダッシュ!四駆郎』の連載をスタートさせたのも胸アツなエピソードである。
■アマチュア時代に採用され、やがて本職に!
1994年から『月刊少年エース』(角川書店)にて連載されていた、長谷川裕一氏による漫画『機動戦士クロスボーン・ガンダム』。その誌面にて「オリジナルモビルスーツコンテスト」が開催された。
そこに一般公募で、当時学生でアマチュアだった海老川兼武氏が投稿。海老川氏のデザインした「エレゴレラ」は見事採用された。
そして、のちに海老川氏はメカデザイナーとして活躍。『機動戦士ガンダム00』や『機動戦士ガンダムAGE』『機動戦士ガンダム 水星の魔女』といったガンダム作品のメカニックデザインも担当することになる。
2021年に発売された「METAL BUILD(超合金) クロスボーン・ガンダムX3」には、海老川氏がデザインした「エレゴレラ」も台座として付属した。20年以上の時を経て、アマチュア時代の自分が生み出した機体の立体物を監修するというのは、万感の思いがあったのではないだろうか。
このほかにも公募キャラではないが、人気コミック『ONE PIECE(ワンピース)』のイラスト投稿企画には、のちにプロとしてデビューを果たす少女漫画家の藤原ゆか氏、漫画家の氷室慶大氏、堀越耕平氏らがアマチュア時代に投稿している。
大好きな作品にまつわる募集企画に臆せずチャレンジしてみることは、夢を叶える大きな第一歩なのかもしれない。