■『ロックマン』と『まじかるキッズどろぴー』

 相手をバスターによる射撃で倒しながらステージを進み、ボスを撃破するとその能力を吸収する……高水準のゲーム表現、オリジナリティ溢れるシステムで独自の世界観を実現したのが、1987年にカプコンから発売された『ロックマン』だ。

 戦闘用ロボットである主人公・ロックマンが、悪の科学者に改造された6体のロボットを取り戻し、平和を取り戻すというストーリー。軽快な操作性に絶妙な難易度が人気を博し、現代に至るまでカプコンを代表するシリーズとなっている。

 この初代『ロックマン』を彷彿させるのが、1990年に登場した『まじかるキッズどろぴー』(ビック東海)である。

 タイトル名に加えて、赤いハットとローブをまとった美しい魔女が描かれたパッケージはファンタジー作品を思わせるが、ゲームを始めるとその印象は一変する。敵は「悪玉帝国」を名乗るロボット軍団という点もさることながら、キャラクターグラフィックや操作性、ドット表現に至るまで、驚くほど『ロックマン』との共通点が多いのだ。

 プレイヤーが操作する主人公のどろぴーに関しても、その姿こそ魔女なのだが、操作しているとジャンプや走るモーションまで、ロックマンの姿と重なって見える。

 また、魔法の弾を飛ばす基本攻撃に加え、6種の魔法を切り替えて使うことができる点もそっくり。通常弾のモーションやグラフィック、そして武器切り替え時のメニューウィンドウなど、『ロックマン』のプレイヤーであれば思わず驚いてしまうほど、その類似点は多い。

 しかしながら、通常弾の発射方向を変えるなど独自要素も盛り込まれており、アクションゲームとしての完成度は高い。実際にプレイしてみると『ロックマン』とはまた違った魅力を感じられる一作である。

■『リンクの冒険』と『オリュンポスの戦い 愛の伝説』

 今もなお新作が生み出され続けている大人気シリーズ『ゼルダの伝説』。その第2弾として1987年に登場したのが、横スクロールアクションRPGの要素を取り入れた意欲作『リンクの冒険』(任天堂)である。

 ファミコン世代の多くが知る名作であるが、これと非常によく似たテイストのアクションゲームが、翌1988年にイマジニアから発売された『オリュンポスの戦い 愛の伝説』だ。

 本作は古代ギリシャを舞台に、恋人・ヘレネの奪われた魂を取り戻すため、主人公・オルフェウスが神々を交えた冒険へと繰り出していくストーリーである。

 まず、驚かされるのが、このオルフェウスと『リンクの冒険』主人公・リンクのビジュアルが非常に似ている点だ。緑色の帽子と服、剣を構えて歩く様子もそっくりで、さらには敵や人物キャラ、背景グラフィックの雰囲気も非常に近い。

 横スクロールのゲーム性も似ているが、本作では経験値によるレベルの概念がない。これにより、プレイヤーの腕前が問われる、よりアクション性の高い作りとなっている。特に、武器による攻撃がかなりスピーディで、直感的な操作と爽快なバトルを楽しめるのが魅力だ。

 

 ファミコン時代には、後世に語り継がれる多くの名作が生まれた一方、大人気ゲームの影響を色濃く受けたタイトルも発売された。「そっくり」で片づけてしまうのは簡単だが、その作品には独自の魅力もふんだんに盛り込まれており、それが現在では、たまらない「味」になっている。大人になった今、そのあたりを意識しながら、再度プレイしてみるのも一興かもしれない。

 

 

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