
1983年7月に任天堂より発売された『ファミリーコンピュータ』。世界累計販売台数約6191万台を売り上げ、日本にゲームブームを巻き起こした伝説的ゲームハードである。当時、子どもはもちろん、大人までもテレビゲームの世界に夢中になったものだ。
そんな『ファミコン』には数々のタイトルが登場したのだが、その完成度の高さからのちの作品に影響を与えた名作も多い。なかには、グラフィックやシステム、ゲーム性、作風など、過去の人気作を彷彿させる、いわゆる「そっくりゲー」も数多く登場している。
そこで、プレイしつつも、ついつい似ている“あの人気作”を連想してしまう『ファミコン』の「そっくりゲー」について見ていこう。
※本記事には各作品の内容を含みます
■『悪魔城ドラキュラ』と『エイト・アイズ』
世界的に有名な「ドラキュラ伝説」をベースとした、ゴシックホラーな世界観が特徴の『悪魔城ドラキュラ』。1986年に発売された、コナミ初の『ディスクシステム』用ソフトである。
本作ではヴァンパイアハンターの主人公が、ドラキュラ城にいる魔王ドラキュラを討伐するため、城にいる数々の敵と戦っていく。ゲーム性はもちろん、美麗なグラフィック、耳に残る秀逸なBGMも高く評価され、のちの多くのアクションゲームに影響を与えた名作だ。
そして、この作品の影響を色濃く受けていると思われるのが、1988年にセタより発売された『エイト・アイズ』である。
本作の舞台は19世紀末のバルカン半島。悪魔復活の邪法を阻止するため、主人公のジュリアン・ジェイムス・ボンド卿が、立ちはだかる数々の敵を打ち倒していく作品だ。
特筆すべきは、『悪魔城ドラキュラ』を彷彿させる、緻密なドット絵で表現されたグラフィックだろう。キャラクターや背景のテイストはもちろん、画面構成までそっくり。メイン攻撃に加え、アイテム入手によるサブ攻撃があったり、壁にアイテムが隠されていたりと、システム面も似ている。
しかし、『エイト・アイズ』独自の要素もある。主人公の相棒である鷹・カットラスの存在だ。プレイヤーはこのカットラスを自在に操り、遠距離攻撃やギミック解除に活用できる。カットラスの操作はゲームクリアのためには不可欠であり、本作ならではの戦略性を生み出している。
さらに、カットラスを使った2Pプレイが搭載されているのも大きな特徴だ。骨太な横スクロールアクションでありながら、友達や家族と共に楽しめるユニークなゲームデザインが光る一作だった。
■『スペースハリアー』と『アタックアニマル学園』&『とびだせ大作戦』
横や縦にスクロールするゲームが主流だった当時、奥行きのある疑似3D空間を表現し、プレイヤーに衝撃を与えたのが、1985年にアーケードゲームとして発売された『スペースハリアー』(セガ・エンタープライゼス)である。
自機を操作して迫りくる敵を次々と撃ち落とす、その迫力満点のシューティング体験は多くのプレイヤーを魅了。1989年にはファミコンにも移植されたが、実は同じようなゲームがすでに発売されていた。
それが1987年に発売された『アタックアニマル学園』(ポニーキャニオン)である。
本作は、女子高校生の主人公・ノッコがなぜか空を飛び、迫る敵を撃墜していく破天荒なストーリーだが、パッと見ただけでも『スペースハリアー』にうりふたつ。
タイル状になっている緑色の大地、奥へと進んでいくステージ、画面奥から迫りくる敵、浮遊しながら敵を撃つ主人公……。疑似3Dシューティング作品だが、そのゲームシステムが『スペースハリアー』にインスパイヤされたものであるのは間違いないだろう。
ただ、この作品にも独自の魅力がある。それは、セーラー服や体操着など、ステージごとに主人公・ノッコにコスチュームチェンジが発生するのである。これに歓喜したプレイヤーも少なくないはずだ。ちなみに本作は、ファミコンの3Dシステムに対応しており、よりリアルな立体映像で楽しむこともできた。
さて、実は『スペースハリアー』インスパイヤ作品は、もう1本ある。同じく1987年にスクウェアから登場した『とびだせ大作戦』だ。
こちらも疑似3Dシューティングで、画面を見ると『スペースハリアー』によく似ている。ただ、本作のキャラは浮遊せず、基本は地面を走り、ジャンプを駆使しながら進んでいく。攻撃はアイテムを取得した際に限られるので、基本的には襲い掛かってくる敵の攻撃をかわしながらゴールを目指すという独特な内容となっている。
なお、この作品は3Dシステムには対応してないが、専用の「とびだせメガネ」をつけることで、立体的な映像を楽しむことができた。