ガンダムを超える「ハイスペック量産機」の明暗…数値上は最強なのに「どうしてこうなった…!?」の画像
「MG 1/100 ジム・スナイパーII」(BANDAI SPIRITS) (C)創通・サンライズ

 「3月9日=ザクの日」「9月2日=グフの日」のように、語呂合わせでガンダムに関連する記念日はいくつもある。そして本日7月8日は、ガンダムの形式番号「RX-78-2」から「ガンダムの日」と呼んでいるファンもいるようだ。

 とくに初代『機動戦士ガンダム』におけるガンダムは主人公機であり、いわば作品の「顔」ともいえる存在だ。逆に連邦のジム、ジオンのザクといった量産機は、ガンダムを引き立てる「やられ役」と認識している人も多いはず。

 しかしそれらの量産機のなかには、実はガンダムをも上回る性能を持っている機体もいた。そんな一年戦争時のガンダム顔負けのハイスペックな量産機たちを振り返ってみたい。

※本記事には各作品の内容を含みます。

■連邦のエースたちが愛した最終戦仕様

 まず紹介するのは、メカデザイン企画「MSV(モビルスーツバリエーション)』などに登場する「ジム・スナイパーカスタム」だ。

 「スナイパー」と名づけられているが狙撃に特化した機体ではなく、狙撃能力を有する高性能汎用機といったほうが適切かもしれない。前期生産型ジムの性能に満足できなくなった一部のエースパイロットの要求に応えるため、改修が施されたカスタム機である。

 装甲やジェネレーター、スラスターとあらゆる面が強化され、総合的な性能は大幅に向上。パイロットごとに個別のチューンも行われたため多少性能にバラツキはあるものの、スペック上はガンダムに匹敵するか、上回るとされている。

 もっとも特徴的な改良点は、頭部に備えた可動式バイザーの存在だろう。これは格闘戦時に頭部センサーを保護するための装備で、白兵戦を意識していることが分かる。連邦が誇るエースたちは遠方から狙撃するだけでなく、隙あらば格闘戦も狙っていたのかもしれない。

 なお同機が投入されたのは、『機動戦士ガンダム』の最終決戦となった「ア・バオア・クー要塞攻略戦」の前だという。一年戦争時にアムロ・レイを超える撃墜数を誇った連邦のトップエース「テネス・A・ユング」はジム・コマンドと、このジム・スナイパーカスタムを愛用したといわれている。

 なお、ジム・スナイパーカスタムの優秀さゆえか、『機動戦士Zガンダム』の時代になっても現役で活躍。第12話「ジャブローの嵐」の回では、宇宙から降下してきたエゥーゴの機体をジャブローから迎撃する姿が描かれていた。

■性能面でガンダムを圧倒する最強のジムが……

 続いて紹介するのは、OVA『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』に登場した「ジム・スナイパーII」だ。

 こちらもスナイパーを名に冠しているが、実際のところは狙撃性能も有する高性能汎用機である。「ジム・スナイパーカスタム」と同じコンセプトで開発されたが、こちらのベースとなったのはジム・コマンド系列のフレームであり、圧倒的な性能向上をもたらした。

 ジェネレーター出力はガンダムを上回り、スラスター推力に至ってはガンダムの約2倍の数値を誇る。そのため一年戦争時の連邦のモビルスーツのなかでも最強の機体といわれているほどだ。

 ジム・スナイパーIIの頭部バイザーには、精密射撃用のセンサーと高倍率カメラを備え、狙撃精度の高さはジオンのゲルググJを上回ったとされる。

 それほどの高性能機体にもかかわらず『0080 ポケットの中の戦争』の劇中では、ジオンのケンプファーに蹂躙される始末。いろいろ不利な状況だったにせよ、あまりにも不甲斐ないやられっぷりが悲しかった。

  1. 1
  2. 2
  3. 3