■侍と刑事の共通点は“気だるい雰囲気”?
空知英秋氏のSF時代劇『銀魂』の主人公である坂田銀時。2017年には実写映画化もされ、銀さん役は人気俳優の小栗旬さんが担当した。
小栗さんが演じた坂田銀時は見事なハマり役で、一部では「銀さんのモデルは小栗さんでは?」とささやかれたが、作者の空知氏が連載を始めるときにイメージした実在モデルについて、インタビューで明かしている。
空知氏が銀時を描く際にイメージしたのは、『探偵物語』の松田優作さんや、『ケイゾク』の渡部篤郎さんだという。なかでも『ケイゾク』での渡部さんの演技に触れ、「だるい雰囲気がすごくカッコ良くて、何を考えているかわからない怖さもあって。そんな感じにしたいと思い、銀さんを描き始めました」と語っていた。
渡部さんが『ケイゾク』で演じた刑事・真山徹は天然パーマではないが、空知氏の語った銀さんとの共通点には納得である。
■さまざまなキャラのモデルになった国民的アイドル
武内直子氏による大ヒット作『美少女戦士セーラームーン』の主人公は月野うさぎ(セーラームーン)だが、一時は彼女を凌ぐ人気を誇ったのが“セーラーマーキュリー”こと水野亜美だ。
マーキュリーはうさぎの友人であり、水星を守護星に持つ水と知性のセーラー戦士。そんな彼女のモデルとなった実在の人物は、当時人気アイドル歌手だった酒井法子さんだ。
武内氏が描いた水野亜美(セーラーマーキュリー)の設定画の横には、「外見のイメージは酒井法子ちゃん」と書かれていた。デビュー当時の酒井法子さんは、マーキュリーによく似たショートボブが印象的だった。
アイドルつながりでいくと、まつもと泉氏の名作『きまぐれオレンジ☆ロード』に登場するヒロイン・鮎川まどかのモデルは、アイドル歌手時代の中森明菜さんである。
同作の愛蔵版の中で作者のまつもと氏は、鮎川のモデルは『少女A』を歌っていた頃の中森明菜さんだと明かしている。
ほかにも『SPY×FAMILY』でガキ大将のダミアンが引き連れている手下二人(エミール&ユーイン)のモデルは、お笑いコンビの「バナナマン」のお二人。『もやしもん』に登場する美里薫のモデルは「笑い飯」の西田幸治さんで、実写版では西田さん本人が美里役を演じたことでも話題になった。
このように漫画家たちが自キャラのモデルに選んだ芸能人や著名人たちは、いろいろな意味で魅力にあふれている。