■第49話「アニメ新番組・星のデデデ」&第89話「オタアニメ!星のフームたん」
上記のように、意表を突いたエピソードで視聴者を圧倒してきた『アニカビ』。なかでもそのぶっ飛びすぎた内容である種の伝説となっているのが、49話、89話で描かれた「アニメ」に関するエピソードだ。
まず49話では、ププビレッジの住民たちを騙して、デデデが主人公のアニメを制作する、という騒動が繰り広げられる。素人が作ったことでクオリティの低いアニメが生まれ、それを取り返そうと低賃金で重労働を強いようとするデデデ。
崩壊した作画にぶっつけでのアフレコ、破綻したストーリー、気持ち悪いほどに美化されたデデデたちのキャラクター像、はては制作陣が力尽き絵コンテのみになってしまうなど、カオスな絵面が繰り広げられていく。
結局、デデデの目論見は破綻してしまった。だが、彼はなおも諦めきれず、89話で再びアニメ制作に着手し始めるのだ。
前回の失敗を活かし、今度はアニメ制作のプロを雇ったデデデ。しかし、やってきたアニメオタクたちはデデデではなく、カービィの仲間の少女・フームの可愛らしさに目を付けた。そしてなんと彼らは、フームを研究するため、尾行、盗撮、盗聴とやりたい放題を始めてしまう。
そんな騒動の果てについにアニメが完成するのだが、その内容はなんとフームを8頭身の美女に仕立て上げた「星のフームたん」という“萌えアニメ”だったのである。
アニメ制作の裏側をテーマにしつつ、最終的には当時まだ浸透しきっていなかった萌えアニメブームを先取りするという、実に思い切った手法で視聴者の度肝を抜いた伝説回。それにしても画面いっぱいに映し出されたスタイル抜群の美女・フームたんの姿は、インパクトが大きすぎた……。
ゲーム版のキャラクターや世界観を受け継ぎつつも、オリジナルなキャラ造形やトンデモ展開で視聴者を圧倒し続けた『アニカビ』。
デデデが仕掛けるやけにリアルな悪事の数々や、随所で展開されるブラックジョークやパロディ。なかには、未来を予見していた?と思わせるようなぶっ飛んだ描写や展開もあり、子ども向けのアニメ番組としては実に尖っていたように思う。
伝説的なアニメ作品として、これからも語り継がれていくことだろう。