『ドラゴンボール』原作では目立たなかったキャラが脚光を浴びた「衝撃のアニオリ展開」バイオレット大佐にチャパ王、サイボーグ桃白白も…の画像
『DRAGON BALL』 #11 [DVD] ©バードスタジオ/集英社・フジテレビ・東映アニメーション

 1984年から『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載が開始された、鳥山明さん原作の『ドラゴンボール』。爆発的な人気を得た本作は1986年からアニメ化されたが、週刊連載に追いつかないよう多くのアニメオリジナル展開、いわゆる「アニオリ」が盛り込まれたことで知られている。

 『ドラゴンボール』に限ったことではないが、原作にはないアニオリ展開に違和感を感じる視聴者は少なくない。かく言う筆者も放送当時は正直、あまり良い印象を持っていなかった。だが、今あらためて見返してみると、アニオリにはアニオリならではの魅力が詰まっていたと気づかされるのだ。

 なかでも印象的なのが、原作では脇役、あるいはモブ同然だったサブキャラクターたちが、アニメで思いがけない脚光を浴びていたケースだ。今回は、そんな「アニオリで輝いたキャラ」にスポットを当て、原作では語られなかった活躍ぶりを振り返っていく。

 

※本記事には作品の内容を含みます

 

■たった2コマから大出世!「バイオレット大佐」

 レッドリボン軍において唯一の女性幹部として登場するバイオレット大佐。紫の髪にタンクトップ&アーミーパンツというラフな出で立ちが印象的だが、原作漫画での登場はわずか2コマ。セリフも限られた程度で、まさにモブ同然の扱いだった。

 しかしアニメでは彼女の存在感が急上昇する。第65話「ゆけ悟空! 突撃開始」では、ブルー将軍が悟空から奪ったドラゴンレーダーをもとに、ジャングルでドラゴンボールを捜索する任務に就く。

 その道中では巨大ワニに襲われるや否や、部下を突き飛ばして自分だけ逃げ出す冷酷な一面を見せたり、その一方、子ザルを優しく抱きかかえる姿もあり、そのギャップも魅力的だった。

 また、原作唯一の登場でもあるレッド総帥への報告シーンでは、用件を終えるなり「あのー、報酬のほうは?」と図太く要求。ブラック補佐にたしなめられるやりとりも加わり、キャラクターの個性がより際立つものとなっていた。

 さらに、悟空によるレッドリボン軍本部襲撃の際には、情勢を即座に察して裏切りを決意。基地の金庫を爆破して金品を強奪し、飛行機で悠々と脱出している。

 ちなみに、パラレル作品である映画『ドラゴンボール 最強への道』(1996年)にもバイオレット大佐は登場。

 原作ではわずか2コマしか登場しなかったバイオレット大佐は、アニメで大幅に活躍シーンが増え、まさにアニオリでキャラが立った好例だと言えるだろう。

■天下一武道会優勝者がまたも引き立て役に…「チャパ王」

 モジャモジャ頭に修行僧のような服装の印象的な大物武道家・チャパ王。かつて天下一武道会で優勝したこともある実力者とされながら、第22回天下一武道会は、完全に悟空の引き立て役で終わってしまった、ちょっと不遇なキャラクターである。

 しかしアニメでは、そんな彼に思わぬスポットライトが当たった。第103話「ピッコロ大魔王の恐怖!!」にて、宮殿のような壮麗な道場で数多くの弟子を指導し、「大物武道家」の名にふさわしい威厳と風格を見せるチャパ王。

 だが、その道場にピッコロ大魔王の命で武道家狩りをおこなっていたタンバリンが襲来。応戦したチャパ王は、速さで腕が八本に見える必殺技「八手拳」を繰り出す。だが、これは少年時代の悟空にすら通じなかった技だ。魔族タンバリンに効くはずもなく「それならオレ様のは百手拳だ!」と、やり返され、そのまま壁に叩きつけられて絶命……。

 その後、チャパ王は第126話「よみがえる神龍!!」で、神龍によって命を落とした仲間たちとともに復活する。そして、第23回天下一武道会に再び出場するも、またしても悟空と対戦して敗退する羽目になるのだった。

 本編では悟空、アニオリではタンバリンにやられてしまったチャパ王。どうしても引き立て役の宿命から逃れられない、哀しき名脇役である。

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