■アニメ5年越しの再登場!「サイボーグ桃白白」

 そのチャパ王が再び予選で姿を消した、第23回天下一武道会。この大会には「世界一の殺し屋」こと桃白白が、両眼にスコープとインパクト抜群なサイボーグ姿で登場する。だが天津飯に制裁を加えようとして逆に返り討ちにされ、原作ではそのままフェードアウトしてしまった。

 しかしこのサイボーグ桃白白は、アニメ『ドラゴンボールZ』でまさかの復活を果たす。セルゲーム直前の第170話「戦士の休息…少女と嘘と悟飯の決意」にて。チャズケ村を支配する顔役・バーボンに雇われた用心棒として再登場するのだ。実にアニメでは約5年ぶりの登場であった。

 村の武道家・ラオに対し、左手の仕込み刀で斬りかかり、さらには右手から「スーパーどどどん波」を放つなど、相変わらずの悪辣ぶりを発揮。

 だが、そこへ登場したのが悟飯だ。彼がかつて自分を倒した悟空の息子だと知ると、桃白白は顔を引きつらせ「用心棒は辞めた」とひと言。そして、投げた大木に飛び乗って逃走してしまう。柱から大木に変わっていたとはいえ、あの“おなじみの移動方法”も健在。ファンには嬉しいサービスシーンであった。

 さらに、第174話「悟空に難関!? 神龍球をとり戻せ」にもサイボーグ桃白白は登場。今度はギャングに雇われ、ドラゴンボールを“1個1億ゼニー”で集めるという荒稼ぎをしていたが、そこへ今度は悟空本人が現れる。

 かつての因縁から悟空の特性をよく理解していた桃白白は、知恵の輪で足止めしようとするが、瞬間移動を身に付けた悟空に足止めは意味はない。結局、ドラゴンボールを渡す羽目になってしまった。

 かつては恐れられた“世界一の殺し屋”も、悟空親子の前ではすっかり“形なし”。アニオリでの久々の復活ながら、完全にコメディリリーフとしての役回りに落ち着いてしまっていた。

 

 アニオリ展開には、連載スケジュールに追いつかないための“尺稼ぎ”という側面も確かにあるだろう。だが、そうした制約の中で生まれたエピソードが、原作では描かれなかったキャラクターの魅力や新たな一面を引き出し、『ドラゴンボール』という作品に意外な奥行きと彩りを加えていたのも事実だ。

 今回は、脇役やモブ同然だったキャラクターたちにスポットを当てたが、メインキャラや完全オリジナルキャラの印象深いアニオリ展開も数多く存在する。機会があれば、そうした“もうひとつのドラゴンボール”の世界についても、あらためて紹介してみたい。

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