■怪獣の死骸から生えた立派な松茸! 「マシュラ」
続いても『ウルトラマンタロウ』から、第31話で猛威を振るったきのこ怪獣「マシュラ」を見てみよう。
接種した人間を意のままに操る「キノコ人間」へと変える毒を持ち、作中では給水塔から毒を流して大量のキノコ人間を生み出した。頭部だけキノコに変えられたキノコ人間はなんともグロテスクで、子どもの頃に見てぎょっとした人もいるのではないだろうか。
なんとも気味の悪い能力を持つマシュラ。頼まれたって食べたくないのが本音だが、本編では意外な手段で食されている。
タロウの「ドライヤー光線」により体中の水分を失ったマシュラは、干乾びながら小さくなり、ほどなくして絶命した。その死骸は消えることなく残り、なんと事件解決からしばらく経つと、たくさんの松茸が育つ温床となっていたのだ。
マシュラ産の松茸はZATのメンバーに収穫され、松茸ごはんとしてふるまわれた。キノコ人間の騒動で「もうキノコはうんざりだ!」と言っていたメンバーも、松茸の誘惑に勝てず、結局は全員がおいしく食したようだ。
それにしても、なぜマシュラの死骸がおいしい松茸を育てる温床となったのだろう。もしかしたら、キノコ人間を生み出す毒のエキスが良い方向に作用したのかもしれない。
なお、『ウルトラマンタロウ』では、火山怪鳥バードンに捕食された食葉怪獣「ケムジラ」もファンには有名だろう。ただ、こちらは「虫」が怪獣化したものなので、あまり味の想像はしたくないかもしれない……。
ここまでウルトラ怪獣のなかでも珍しい「食べられる怪獣」を見てきた。ウルトラ兄弟と戦うほど強大な怪獣をおいしく食べるなんて不思議な話だが、『ウルトラマン』シリーズの長い歴史では、そんな不思議もありえるのだ。
今回紹介した怪獣をまとめると、エビの味がするツインテール、カニのガンザ、松茸を生んだマシュラとなる。エビ、蟹、松茸……まとめて鍋にでもしたらおいしそうだ。ずばり「ウルトラ怪獣の寄せ鍋」。あなたは食べてみたいだろうか?