
1966年に放送された『ウルトラQ』から始まった昭和の『ウルトラマン』シリーズ。
地球の平和を守るウルトラ戦士たちはもちろん、敵役であり作品のもう一つの顔でもあるウルトラ怪獣たちも非常にインパクトが強く、当時の子どもたちを夢中にさせた。
姿形は怪獣によって実に多彩で、習性や強さも個体によって千差万別だ。では、「味」のほうはどうだろうか? 実はウルトラ怪獣には、人や怪獣に食べられる設定を持つキャラが存在し、本当に食べられてしまった怪獣もいる。とても想像できないが、いったいどんな味なのだろうか。
今回は『昭和ウルトラマン』シリーズに登場した、「食べられてしまう怪獣」を振り返ってみよう。
※本記事には各作品の内容を含みます
■エビの味で有名だけど初登場では…「ツインテール」
“食べられてしまう怪獣”と聞いて、まっさきにこの怪獣を連想した人も多いのではないだろうか。『帰ってきたウルトラマン』第5話で初登場した「ツインテール」だ。
長靴が立ち上がったような奇怪なフォルムで一目見たら忘れられないツインテールは、食べてみると「エビの味」がするらしい。これは『ウルトラマン』を題材にした児童誌や怪獣図鑑によく載っており、ファンの間では定番のネタでもある。
エビの味がすると思ってツインテールを見てみると、確かに長靴のような見た目も、大きく体を反らせたエビに見えてくる。体の先端から垂れる2本のしっぽは、さながらエビのヒゲといったところか。
当時の子どもたちにとっては非常に知名度が高いツインテールの味だが、『帰ってきたウルトラマン』の劇中では、実は意外にも食べられていない。
第6話「決戦!怪獣対マット」では地底怪獣・グドンと共闘し、一度はウルトラマンを倒す大活躍を見せるツインテール。だが、2度目の戦いでは誤ってグドンに噛みついてしまい、逆上したグドンの手で地面に叩きつけられて命を落とした。「グドンの好物はツインテール」という設定も有名だが、劇中で食べられたわけではなかった。
これは余談だが、2006年から2007年にかけて放送された『ウルトラマンメビウス』にツインテールが登場した際は、高次元捕食体・ボガールに食べられ最期を迎えている。捕食シーンで「バリバリバリ!」とツインテールを嚙み砕く音がしていたが、味がエビなら外骨格もエビの殻みたいな食感だったのだろうか……。
■見た目も味もカニそのもの!? 「ガンザ」
次は『ウルトラマンタロウ』第7話「天国と地獄 島が動いた!」に登場した、大ガニ怪獣「ガンザ」だ。八丈島付近を航行する船を襲って人間を食べる獰猛な怪獣で、見た目は名前の通りカニを巨大化させたような姿をしている。
劇中では宇宙科学警備隊「ZAT」がガンザの甲羅を島と間違えて上陸し、その上で焚火をするシーンがあった。隊員が「エビとか蟹が焼けるようないい匂いがする」と語っており、身肉も食用の甲殻類に近いようだ。
では、気になる味はどうだろうか。実はガンザ自身は食べられることなくタロウに退治されており、実際に食されたのはその子どもたちだ。
激闘の末に甲羅をはがされたガンザは大量の卵をまき散らして絶命してしまう。その卵からは小さな子ガニが大量にふ化。ウルトラマンタロウは子ガニに「成長停止光線」を浴びせ、怪獣になるのを止めた。そして後日、無数のカニが東京湾で収穫され、子どもも買える大安売りで人々の舌を楽しませた……というわけだ。少なくとも、子ガニの味は普通のカニと遜色なかったらしい。
この話の終わりには、「子どもたちもこの時だけは腹いっぱいカニを食べた」というナレーションが入っている。物価高が続いて久しい現実では、カニはなかなか手が出ない高級品だ。カニを腹いっぱい食べられる子どもたちが、大人げなく羨ましい。