■そもそも悪魔の実はどこに「実る」のか?
果実と言えば、木に生るものである。悪魔の実も“果実”という扱いであれば、それが生る木が存在しているのではないかと、以前より語られてきた。
説としては「『ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)』=悪魔の実が生る木」「マリージョアの国宝=悪魔の実が生る木」「魚人島に光を届ける陽樹イヴ=悪魔の実が生る木」と、さまざまなものがある。
悪魔の実が果実扱いであるならば、確かに生る木が存在していてもおかしくはない。それがドンキホーテ・ドフラミンゴが言うところの「マリージョアの国宝」であるのだとしたら、世に出せないのも頷ける。
しかし、悪魔の実が生る木など、そもそもない可能性も浮上している。それを示唆したのが「パンクハザード編」にて登場したサラサラの実モデル“アホロートル”を食べたゲル状毒の殺人ガス・スマイリーの存在だ。
原作676話にて、スマイリーはシーザーの作戦により殺戮兵器「シノクニ」に変貌する。スマイリーとして死を迎えた時、近くにあった林檎らしき果実が悪魔の実へと変わる描写があった。
この現象から悪魔の実は特定の木に生るものではなく、その時近くにある果実に自動的に宿るのではないかという可能性が出てきた。
しかし、その後、ドンキホーテファミリーの下っ端が、メラメラの実を手に入れたドフラミンゴについて話す際「“実”の能力者が死ぬと——また世界のどっかにその能力を秘めた“悪魔の実”が復活するらしい」と述べている。
下っ端の話であるし、この説が真実かは不明なままだが、これを事実だと仮定した場合、スマイリーが死亡した時のように“一番近くにある果実”が悪魔の実に変わるわけではなく、周囲の環境により発生条件が変わってくる可能性も考えられるだろう。
これらすべて確定した情報ではないものの、黒ひげ海賊団が“能力者狩り”をおこなっているあたり、メカニズムが明かされる日も近いかもしれない。
原作第1話から最新話に至るまで、常に『ONE PIECE』の世界にかかわり続けてきた「悪魔の実」。登場してから実に25年以上もの月日が経っているが、今回紹介してきたように未だに多くの謎が残されている。
物語も最終章に入り、ベガパンクが仮説を説くなどだんだんと真実に近づいてきた感はある。いずれ明かされる正体を知るまで、楽しみに待ちたいものだ。