■主人公の幼なじみの壮絶な最期……
『アークザラッド』シリーズで最悪のトラウマシーンといえば、『アーク2』の主人公エルクの初恋の相手「ミリル」を思い出す人が多いはず。
エルクとミリルは、幼少期に「白い家」というロマリア軍の実験施設で育った。いわば幼なじみと言っても過言ではない間柄だ。
ある日、同じ施設の子どもがモンスターに改造される実験現場を目撃し、エルクとミリルは施設を脱走する。
しかし追いつかれそうになり、ミリルは自分を囮にしてエルクを逃がす。そのときミリルは「逃げて、そして必ず助けにきて」とエルクに告げた。
その後ついにエルクはおぞましい研究を行っていた「白い家」の場所を突きとめる。
そこで立ちはだかったのは、ガルアーノによってモンスターに改造されてしまったミリルだった。姿こそ人間のままだったが正気を失い、エルクを攻撃するミリル。しかし、わずかに人間だったときの記憶も残っており、彼女は「エルク、私を殺して…」と懇願する。
正気を取り戻しかけるミリルに、ガルアーノは精神コントロールを強化。容赦なく彼女の精神を破壊する。そのあまりにもえげつない行動に吐き気がするほどだ。
しかし、なんとかエルクはミリルを救出。消耗した彼女はエルクの腕の中にいた。これで二人は晴れて自由の身になれるのかと思いきや、ガルアーノは「ミリルよ、愛する者に抱かれ美しく散るがいい」と宣告。その直後、彼女の肉体は爆発した。
ミリルの最期の言葉は「エルク、逃げて!!」だった。彼女の体は粉々に吹き飛び、至近距離にいたエルクも瀕死の重傷を負う。しかしエルクにとっては爆発による体の傷よりも、心に負った傷のほうがはるかに深刻だったのである。
本日で30周年を迎えた『アークザラッド』、その続編『アークザラッドII』は、プレイステーション初期の傑作として名高い。その、あまりにも悲しいストーリーが忘れられないプレイヤーも多いのではないだろうか。たしかに悲劇的な展開は多いが、間違いなく素晴らしいシナリオなので、未プレイの人にこそ一度遊んでほしい。