
今からちょうど30年前の1995年6月30日、初代プレイステーションを代表する名作RPG『アークザラッド』(ソニー・コンピュータエンタテインメント)が発売された。
同作と『ポポロクロイス物語』『ワイルドアームズ』を並べて、「SCE3大RPG」などと呼ばれているが、それぞれ作風はかなり異なる。とりわけPS1で発売された『アークザラッド』と『アークザラッドII』はファンタジーの世界観ながらダークな雰囲気に包まれ、ショッキングな場面が描かれたことでも知られている。
そこで今回はPS1初期の傑作と名高い『アークザラッド(以降、アーク1)』と『アークザラッドII(以降、アーク2)』のなかから、衝撃のトラウマシーンを振り返ってみたい。
※本記事には各作品の核心部分の内容を含みます。
■仲間の家族を手にかけた意外な相手とは…!?
『アーク2』の序盤は、巨大なマフィアを束ねるボスであり、実は敵国のロマリア四将軍に名を連ねる「ガルアーノ」にまつわるストーリーが展開される。
インディゴスの街の酒場で歌姫と称される女性「シャンテ」は、母を亡くし酒に溺れる父親に売られた際に生き別れになった弟のアルフレッドを探していた。
街の情報屋でもあるシャンテは罠にかけられそうになった主人公エルクらを助け、それがきっかけで知り合う。しかし、マフィアのボス・ガルアーノから弟のことで脅迫されたシャンテは、エルクらを騙してスパイとして行動する。
その後、シャンテは組織に弟の居場所を問いただしたところ、すでに死亡していることが判明。シャンテを騙したガルアーノの卑劣な言動にも虫酸がはしるが、『アーク2』が恐ろしいのはそれだけではない。
実はシャンテの弟であるアルフレッドを倒したのは主人公のエルクであり、ストーリーの最初のボスがその弟だったのだ。
その場面はエルクにとって最初の見せ場であり、彼の職業である「ハンター」としての強さを見せつけて、ヒロインのリーザを救出した名場面である。作中で二度しか流れない名曲「エルクのテーマ」を聴けるシーンでもあった。
だが、そのとき倒した相手がシャンテの弟だとすれば、話は全然変わってくる。あのとき感じた胸の高鳴るような高揚感が、丸ごと罪悪感に変わるのだから……。しかもシャンテのイベント自体、比較的序盤に訪れるので、当時は「え、いきなり展開が重くない?」と感じたのを覚えている。
ちなみに、シャンテの弟を倒したのはエルクだが、実際に彼の命を奪ったのはガルアーノの手下。その事実だけが唯一の救いといえるだろう。
■続編で実現したあまりに残酷な親子対決
『アーク1』から登場する任侠一家「モンジ一家」。親分のモンジは弱い者を助ける義賊であり、身寄りのなかったトッシュを実の子のように育てあげた人物だ。
トッシュは偉大な義父を尊敬していたが、世界を滅亡へと誘うロマリア四将軍のひとり「アンデル」に目をつけられ、「モンジと家族には手を出さない」という条件で囚われの身となる。
しかしアンデルはそんな約束を守ることなくトッシュを囚えたあと、平然とモンジ一家を皆殺しにした。
これだけでも気分が悪くなりそうな展開だが、続編の『アーク2』でさらにおぞましい展開が待っていた。
アンデルの配下のネクロマンサーは「トッシュと戦ってみたかった」という生前のモンジの未練を利用し、無理やりゾンビとして蘇らせたのである。
そして邪悪な力に支配されたモンジとトッシュの一騎討ちが行われる。その戦いで秘奥義を習得したトッシュは、自らの手で義父に引導を渡すこととなる。
誰よりも尊敬する恩人を一度目は助けることができず、二度目は自分の手で殺害することになったトッシュ。彼の気持ちを考えると、あまりにも残酷すぎる展開だった。