■“史実”には逆らえず、切なすぎる最終回

 『銀河烈風バクシンガー』(1982年から放送)は、国際映画社が製作した「J9シリーズ」の第2弾。前作『銀河旋風ブライガー』から人気を引き継ぎ、「新撰組」をモチーフにした幕末の動乱をSF大河ドラマ風に描いた作品だ。

 同作の舞台は『ブライガー』から600年後の世界。衰退期を迎えた中枢機関「バクーフ」を支えるため、地方惑星出身のビリー・ザ・ショット(真幌羽士郎)は、暴走族のリーダーだったディーゴ・近藤らとともに「銀河烈風隊」を結成して戦いに身を投じる。

 名前から分かる人もいるが、ディーゴ・近藤が新撰組局長「近藤勇」、左馬之助・ドーディは「原田左之助」、そして主人公・ビリーは「沖田総司」がモデルであり、新選組がモチーフになっている。

 シュテッケン・ラドクリフ(土方歳三がモデル)と、紅一点のライラ・峰里を入れた5人がメインキャラで、彼らが乗る5台のバイクが巨大化、変形、合体のプロセスを経て、戦闘ロボ「バクシンガー」となる。

 希望を胸に走り続けた「銀河烈風隊」は巨大な組織になるも、モチーフとなったのは幕末の動乱。そのため史実と同様にストーリー展開も少しずつ雲行きが怪しくなり、彼ら5人にも不穏な影が忍び寄る。

 まず、沖田総司がモデルのビリーは、彼と同じ肺結核ではなく眼病に冒されて失明。民衆と仲間を守るために1人で戦いに赴いたディーゴは戦死し、左馬之助は暗殺されてしまう。

 そして第39話の最終回「烈風散華」では、新太陽系連合の総勢15万もの軍勢に向かって、ビリー、シュテッケン、ライラは負けを覚悟しながら捨て身の攻撃を敢行。最終回のタイトル通り、残された烈風隊も華々しく散って物語は幕を閉じた。

 最終回での彼らは主人公とは思えないくらいあっけない死に様で、あまりにも儚いラストだった。

 なお、放送中に「銀河烈風隊」の面々がどのような最期を迎えるのかを察した一部のファンが、彼らの死を回避するための署名活動を行い、筆者も署名に参加したが、残念ながら悲しい結末が変わることはなかった。

■巻き込まれたあげく、切なすぎる相打ち

 最後に紹介したいのは、異世界ファンタジーとロボットアニメが融合した『聖戦士ダンバイン』(1983年から放送)。中世ヨーロッパに似た異世界「バイストン・ウェル」に召喚されたショウ・ザマが、オーラバトラーと呼ばれる戦闘用ロボットのパイロットとして戦いに巻き込まれていく物語だ。

 主人公のショウは、作中屈指のオーラ力(ちから)を持つ「聖戦士」で、異世界の権力争いの駒として召喚されたあげく、さまざまな陰謀の渦中に巻き込まれてしまう。物語後半では不仲だった両親と再会するが、さらに溝が深まって決別することとなった。

 最終話(第49話)である「チャム・ファウ」の回では、地上とバイストン・ウェルの存亡を賭けて、戦乱の引き金を引いたドレイク軍と「ナの国」の女王シーラ・ラパーナの軍が激突。太平洋上の最終決戦では、明るいおてんば少女キーン・キッス、ショウの恋人であるマーベル・フローズンなどが次々と戦死していく。そしてドレイクを討ち取ったニー・ギブンも、搭乗機の爆発に巻き込まれて命を落とした。

 ショウは、騎士としての仮面を脱ぎ捨て復讐の鬼と化したバーン・バニングスと一騎討ちに。ダンバインの後継機である新型オーラバトラー・ビルバインからバーンが搭乗するガラバに飛び移ったショウは、携えた剣で互いに刺し違えた。

 そして瀕死のショウの「浄化を!」という呼びかけに応じ、シーラ・ラパーナが自身の霊力で浄化を行うと、残存するすべてのオーラマシンが爆発。光に包まれながら消滅していく。

 こうして太平洋上からすべてのオーラマシンの痕跡が消え、ビルバインから脱出していた妖精チャム・ファウだけがアメリカ海軍の手で救出された。チャムはバイストン・ウェルのことを地上人に語ったあと軍艦からいなくなり、物語は終わる。

 OVA『New Story of Aura Battler DUNBINE』ではテレビアニメで消滅したキャラクターの一部が輪廻転生した姿が描かれるが、テレビアニメ『聖戦士ダンバイン』の物語としては、チャム以外は全滅という衝撃の終わり方となった。

 とくに主人公のショウに至っては異世界召喚され、そこで出会った仲間や恋人をすべて失い、元の世界に戻ることなく消滅という、あまりにも悲しい結末といえるだろう。


 これらの最終回はどれも大団円とはいいがたいが、何十年も経過した今も忘れられないほどのインパクトがあった。皆さんが子どもの頃に観たロボットアニメ作品で、壮絶な最終回の記憶が残っている作品といえば、何を思い出すだろうか。

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