■さすが殺し屋のパートナー、ドスの効いたブチ切れ『今日からヒットマン』山本舞香

 むとうひろしさんが描いた漫画『今日からヒットマン』は、2023年にドラマ化された。本作で“ブチ切れ演技”を披露したのが、ヒロイン・ちなつを演じた山本舞香さんだ。

 彼女は裏社会でその名を轟かせた凄腕のヒットマン「初代二丁」の恋人で、彼の死後、相葉雅紀演じる一妻一子の平凡なサラリーマン・稲葉十吉を「二代目二丁」として裏の世界に引き込んだ張本人である。

 ちなつは連絡役として十吉の勤務先の食品会社に、ニコニコと笑顔でやって来ては、あっけらかんと仕事(=暗殺)の指示を伝える。毎度アタフタする十吉とのやり取りが妙におかしい。

 そんなちなつに惚れてしまうのが、十吉の頼りない部下・山本照久(深澤辰哉さん)だ。

 第4話では、ちなつと山本がデートに出かけるが、その最中に敵組織に拉致されてしまう。二丁の弱点を引き出すため、敵はちなつに平手打ちを浴びせて脅しをかけるが、彼女は一歩も引かない。

 「あんたらみたいな雑魚に二丁はやれない あの人は私の最高のパートナーなんだから」と、ドスの利いた声でブチ切れ返すちなつ。その瞬間の山本さんは凄みと迫力に満ちており、思わず見惚れるほどのカッコ良さがあった。

 ちなつの魅力はそれだけじゃない。山本さんは幼少期から空手をたしなむ黒帯の実力者で、本人も「スタントに頼ることなく、できるだけ自分でこなしていきたいと準備しています」と語っていたが、作中では銃撃、格闘アクションにも果敢に挑戦している。

 スピード感とキレのあるアクションで、「さすが殺し屋のパートナー」と視聴者をうならせる説得力を見せていた。

 

 今回紹介した女優たちの「ブチ切れ演技」は、猫をかぶった可愛さとのギャップがあるからこそ鮮烈だった。そして何より、そこには演じる女優たちの本気が滲み出ており、抗えない魅力があった。

 今後も、そんなギャップの妙を活かした“ブチ切れ美人”が登場する実写化作品を、ひそかに楽しみにしている。

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