
数々の映像作品において、美人女優が激しくブチ切れるシーンは、演技だと分かっていてもとにかくインパクト抜群だ。特にそれまで可愛らしく“猫をかぶっていた”人物が、ある瞬間から怒鳴ったり、暴れたりと豹変する姿には思わず驚かされてしまう。そして、そんなギャップも魅力的で、思わず引きつけられてしまうのも事実だ。
そこで今回は、漫画実写化作品のなかから、そんな「猫かぶりキャラ」を演じた女優たちが見せた衝撃の“ブチ切れ演技”をピックアップしてみた。強烈なインパクトを残した名シーンの数々をあらためて見ていこう。
※本記事には各作品の内容を含みます
■白目をむいた鬼の形相!『今日から俺は!!』橋本環奈
『銀魂』(2017年)や『斉木楠雄のΨ難』(2017年)など、福田雄一監督作品でコメディエンヌとしての才能を開花させた橋本環奈さん。同じく福田監督が手がけた、西森博之さんの漫画を原作としたドラマ『今日から俺は!!』(2018年)では、さらに振り切った演技で視聴者を圧倒した。
演じたのは、成蘭女子高校の女番長・早川京子だ。愛らしい容姿をしている反面、実はケンカにめっぽう強く、仲間からも一目置かれる存在だ。だが、恋人である伊藤真司(演:伊藤健太郎さん)の前では可愛く猫をかぶるという、なかなかにギャップの激しいキャラでもある。
初めて“ブチ切れ演技”が炸裂したのは第2話。敵をバッタバッタと倒している最中、たまたま伊藤にその現場を見られてしまい、慌てて「お芝居の稽古してたの!」と、ぶりっ子全開でごまかそうとする。……が、その場にいたスケバン仲間・川崎明美(演:若月佑美さん)が「さっきまでボコボコに蹴り倒してたじゃないすか」と、空気を読まない一言を放ってしまう。
なんとかその場をごまかしたものの、伊藤が立ち去るや否や「明美!! 空気読まんかい空気を!!」と白目をむき、鬼の形相でぶち切れる橋本さん。“1000年に一人の美少女”と称されるほどのルックスを持つ彼女だが、「ここまでやるか!?」と、視聴者であるこっちがヒヤヒヤしてしまうほどだった。
橋本さん自身は「彼氏である真司とはいつもベタベタしていて、バカップルを通り越しています(笑)。怖い一面とのギャップも楽しんでもらえたらうれしいです」と語っており、美貌をかなぐり捨てた「顔芸」と「ブチ切れ」の全力投球は、女優としての底力をまざまざと見せつけるものだった。
■優等生イメージを覆す怒涛のキレ芸『Gメン』吉岡里帆
小沢としおさん原作の映画『Gメン』(2023年)で、吉岡里帆さんが演じたのは、男子不良生徒だらけの問題クラス「G組」に赴任してきた新任教師・雨宮瞳だ。これまで清楚な役柄を演じることの多かった吉岡さんだが、本作ではそのイメージを一変させる怒涛の“ブチ切れ演技”を披露している。
赴任初日、「みんな〜よろしくね!」と満面の笑みで教壇に立つ雨宮。最初こそ猫をかぶって明るく接するが、不良生徒たちは完全に無視。ある生徒の漫画を取り上げた際には、「何すんだよババア!」と反発されてしまう。
だが、ここで吉岡さんのブチ切れが炸裂。間髪入れず「誰がババアだよコノヤロー!」と凄み、その迫力に教室中が一瞬で静まり返るのだ。
さらに、薙竜二(りんたろー。さん)が「でもまあ年齢的に言えばおばさんっていうか……」と口を挟むと、「おいオグリキャップ! 馬面のテメーだよ!」と鋭くツッコミ。梅田誠人(森本慎太郎さん)には「枯れすすき」、肝田茂樹(矢本悠馬さん)には強烈なビンタをお見舞いするなど、怒涛のキレ芸が止まらない。
ちなみに、この迫力ある吉岡さんのビンタだが、受ける側の矢本さんが「思いっきりやって」と依頼した結果なのだが、棒で殴られたのかと思うくらい衝撃的な一発だったという。しかも、寄りと引きで複数回撮影されたというから気の毒だ……。
これまでの優等生的なイメージを覆す吉岡さんの新境地。可愛さとキレ芸のギャップがこれほど鮮烈だった役柄は、近年の実写作品のなかでも屈指のインパクトを誇るものだった。