■眠ってからが本領発揮⁉『鬼滅の刃』我妻善逸
最後に紹介するのは、吾峠呼世晴さんの『鬼滅の刃』に登場する雷の呼吸の使い手・我妻善逸だ。
初登場は、主人公・竈門炭治郎も参加した鬼殺隊士の最終選別だ。その時は情報も少なく、金髪の短髪に陰鬱とした見た目は、歴戦の剣士のようにも見えなくもなかった。
……だが、次に登場した「鼓屋敷編」でキャラが確定する。初めて会った女の子に泣きながら結婚を迫るわ、任務中は年下の男の子の背後に隠れて泣き叫ぶわ、果ては鬼を前にしてその恐怖から眠ってしまう始末。善逸は完全に“ヘタレキャラ”として読者に認識された。
しかし、善逸は突如として覚醒の瞬間が訪れる。彼はなんと眠ったまま“雷の呼吸 壱ノ型・霹靂一閃”を発動し、あっという間に鬼の首を落としてしまうのだった。その姿はまさに別人。誰もが驚かされたはずだ。
また、善逸の強さは眠ったときの剣技だけじゃなかった。先に鼓屋敷を脱出した善逸は、炭治郎が命よりも大切にしている妹・竈門禰󠄀豆子の入った木箱を嘴平伊之助から必死に守ろうとするのだ。
何度も蹴り付けられ、刀で斬りかかられても一歩も引かないその姿からは、単なるヘタレではない、心の強さがしっかりと伝わってくるのだった。
今回は、弱そうに見えて実は激強だったという、意外性に満ちたキャラたちを紹介した。「人は見かけによらぬもの」とはよく言ったもので、彼らはまさにそれを体現しているようだ。第一印象ではまったく期待されなかった彼らだったが、いざ戦いの場では信じられないほどの強さを発揮し、敵を鮮やかに打ち倒していく。その姿はまさに痛快そのものだった。